高市首相は公式Xで、重大な脆弱性の修正パッチを可及的速やかに適用するよう求めた(イメージ:Adobe stock)

国内に激震を走らせた投稿

マスメディアの存在価値を揺るがす、日本国政府による壮大な実証実験が行われた。

それは、10月21日午後21時55分頃、高市早苗首相の公式Xから、「大至急のお願い」として発信された。プログラミング言語「PHP」の重大な脆弱性(システムのセキュリティ上の弱点)が見つかり、修正パッチの可及的速やかに適用を求めることを促す内容として、実験は行われたのだ。同時に、パッチ適用が困難な場合はウェブサイトの一時停止も提案する内容だった。

この異例とも言える、首相自身からの直接言及はあたかも緊急事態宣言下の様に国内に激震を走らせ、その日のうちに拡散されていった。深夜から翌朝にかけて、多くのWebサービスや、企業、官公庁のサイトなどが緊急メンテナンス態勢に入り、次々とサービス停止を発表していった。その影響の結果、一般ユーザーにも注目が広がっていった。

この高市首相の投稿はインプレッション(視聴数)が1億を超え、翌日以降、テレビ報道や新聞などのマスメディアで伝えられていく経過をたどる。

高市内閣の政府広報として、即応性や拡散力などの点で実効性があったと、筆者はみる(イメージ:Adobe stock)

政府広報として、かつてこれ程の即応性と拡散力を誇る、実効性のあった発信があっただろうか。

少しだけ調べてみたが、やはりなんといっても1945(昭和20)年8月15日の昭和天皇陛下による終戦の詔書、いわゆる玉音放送だろう。正確な記録はないが、恐らく実質的に100%に近い視聴率だったのではないだろうか。

そして2011年3月16日、東日本大震災発生の5日後、現上皇陛下によるお言葉、同じく譲位の意向をお示しになられた2016年8月8日も記録的な視聴率であったと聞く。新元号「令和」の発表が行われた2019年4月1日の発表も同様だという。どれも国民的関心事を取り扱い、注目される状況下で行われたものだ。

その他に、政府発信だけではないが、2024年1月1日の能登半島地震において、津波避難を呼びかける防災アカウントや、現地の情報発信投稿などが1億をはるかに超えるインプレッションを叩き出している。

意外なのは、コロナ禍における「おうち時間」を啓発する目的で発信された、安倍晋三首相による「星野源さんとのコラボ動画」だ。賛否両論の激しい議論も生じたが、インプレッションとしては数千万の規模を記録している。

これらと比較しても、今回の高市首相からの緊急発信は、オールドメディアを利用しない独自の発信として、その威力が確認された歴史的事実であるといって良いだろう。