G20の財務相・中央銀行総裁会議後、ベッセント氏の会見での発言が注目された(写真:Adobe stock)

ベッセント氏発言を巡る騒動

9月1日に行われた、G20の財務相・中央銀行総裁会議後の記者会見で、米国財務長官ベッセント氏が日本に伝えたというメッセージが、日経新聞をはじめとしたオールドメディアで報道された。「リフレ政策をやめるべきだ」「利上げを実施するべきだ」といった発言内容だ。しかし、解釈について、報道を受けたネット空間の反応は、それは「切り取りで虚偽、捏造に近い内容だ」といった批判が渦巻いた。メディアの発信をネットの情報空間がファクトチェックをした様相を呈した。では、真実は一体、どうなのだろうか。

ベッセント氏は発言の中で、アベノミクスの成功を称賛してもいる。そして、その次のステージとしてサナエノミクス(タカイチノミクス?)を支持するといった趣旨ではなかっただろうか。行き過ぎた円安を良くない状態だとして、その後、賭博の主催者を意味する「胴元」と自身を重ねて、投機筋にも挑戦的な発言すら行っている。

つまり、発言した言葉としては誤りではない。だが、その真意についての解説は、メディアが日頃、主張する論調に合わせて、後押しする方向に、断定的に解釈を寄せてきたといったところだろうか。つまり、解説部分は単なる意見であり、悪意を持てば誘導にもなり、少なくとも自身の考えを前提にした主張に過ぎないのだと感じる。責任ある報道としては、本来は多様な意見を前提として伝えるべきだが、尺(紙幅・時間)の都合で一部の意見に絞られていて、何か裏があると疑いたくなってしまうように見えてしまう。立場を明確に示した機関紙や書物の情報発信であれば一般的だが、マスメディアが行えば情報操作と批判されて然るべき、と筆者は考えている。

「情報弱者」となるリスク

そういう意味で、ネットでのファクトチェックは多種多様な意見が入り混じり、中には筋違いの論もあるにはある。だが、少なくとも努力して探れば、多様な意見が取得できるし、もう少し努力すれば一次情報をつかむことも、それ程難しくない。

その努力をしなければ、「情報弱者」となるリスクを帯びてしまう時代なのだ。いや、ネットの情報がなかった時代は、一方的な意見の限定された情報しか取得できなかったと考えれば、全員が「情報弱者」に強制的にされる環境に置かれていたとも言える。そのため、情報格差が生じにくく、問題性に気付かなかっただけだろう。

それでも先人たちは、文献や足で情報を取得する努力をしていたのであり、その苦労を考えると現代の情報空間に生きていて良かったと強く思うのだ。