2018/11/09
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』

本日は、「スフィア基準のきほんのき」についてお伝えします。タイムリーなことに、本稿を書いています2018年11月6日にスフィア2018版が出版されました!スフィア基準については、今や防災界で名前を知らない人はいないといえるほどではないかと思いますが、みなさんはご存知ですか?

私が、2012年にトレーナーの方からレクチャーを受けた際はまだまだ知っている人のほうが稀という感じでしたが、2016年4月の熊本地震の後、テレビで報道されると一気に認知度があがりました。
さらに、2016年4月には、内閣府の「避難所運営ガイドライン」では、目次のすぐあとにスフィアプロジェクト(スフィア基準)のことが書かれるようになりました。

国として参考にすべき国際基準としてしっかり位置付けられたのです。前はよく「ソフィア」と間違えられていたなんてもう過去の笑い話にしていいですよね!
でも、認知度があがったのはよいのですが、逆にメディアで報道された部分だけがスフィア基準だという誤解も増えたようです。とくに「トイレは女性が男性の3倍」、それがスフィア!みたいな誤解は多いようです。名前は知ってるけど、実は何なの?という声もよくお聞きしますので、呼びかけ人として動いている 女性防災ネットワーク・東京の仲間と講演を企画しました。今回はその報告です。
「基本のき」から始めましょう
まずは、「いまさら聞けない!? ”スフィア基準” の基本のき」ということで、スフィア基準のトレーナーとしてもご活躍の岡野谷純さん(NPO法人日本ファーストエイドソサェティ代表理事)のお話を中心にお伝えします!

岡野谷純さんは医学博士。NPO法人日本ファーストエイドソサェティの代表理事として、災害被災地においてボランティアや市民の活動安全に関するコーディネートを実施されています。東日本大震災では、乳幼児とその家族の健康・発育・生活を支援する「赤ちゃん一時避難プロジェクト」を立ち上げ、被災地外避難所を運営、現在も継続支援中。平時にはスフィア基準のトレーナーとして、普及活動にも励まれていらっしゃいます。
岡野谷さんによると、今「スフィア基準」と検索をすると、トイレのイラストがでてきて「男性1:女性3」という画像が多いとのこと。それだけではなく、「避難所」と検索したら、避難所の写真がでてくると思いますよね。でも、そうではなくて、スフィア基準のトイレの説明がでてくるのが昨今なのですって。
すごい知名度ですね。でも、よくある誤解はこんな感じです。

この数字を守ることがスフィア基準なんでしょうか?
そもそもスフィアプロジェクトの本の表紙にはこのようなタイトルが書かれているのです。

「人道憲章と人道対応に関する最低基準」
「人道」が2つも入っていますが、「人道」って言葉、日常で聞いたりすることありますか?私のまわりでは、「人狼」のほうが、耳にすることが多いかもと思うくらい耳にしないかもです。
「憲章」ってことばもマグナカルタ(大憲章)とか権利章典とかを学校で習って以来という人もいるかもしれません。
スフィア基準というものは、「危機対応として、人道支援を行う人々のための普遍的なリソース」と説明されます。
でも、この人道がピンと来ないとフレーズが頭に入りにくいかと思うので、スフィア基準がなぜできたのか、まずはそこからおさらいしましょう。
- keyword
- スフィア基準
- 避難所
- 内閣府
- 避難所運営ガイドライン
- あんどうりす
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』の他の記事
おすすめ記事
-
白山のBCPが企業成長を導く
2024年1月1日に発生した能登半島地震で震度7を観測した石川県志賀町にある株式会社白山の石川工場は、深刻な被害を受けながらも、3カ月で完全復旧を実現した。迅速な対応を支えたのは、人を中心に据える「ヒト・セントリック経営」と、現場に委ねられた判断力、そして、地元建設会社との信頼関係の積み重ねだった。同社は現在、埼玉に新たな工場を建設するなどBCPと経営効率化のさらなる一体化に取り組みはじめている。
2025/08/11
-
三協立山が挑む 競争力を固守するためのBCP
2024年元日に発生した能登半島地震で被災した三協立山株式会社。同社は富山県内に多数の生産拠点を集中させる一方、販売網は全国に広がっており、製品の供給遅れは取引先との信頼関係に影響しかねない構造にあった。震災の経験を通じて、同社では、復旧のスピードと、技術者の必要性を認識。現在、被災時の目標復旧時間の目安を1カ月と設定するとともに、取引先が被災しても、即座に必要な技術者を派遣できる体制づくりを進めている。
2025/08/11
-
アイシン軽金属が能登半島地震で得た教訓と、グループ全体への実装プロセス
2024年1月1日に発生した能登半島地震で、震度5強の揺れに見舞われた自動車用アルミ部品メーカー・アイシン軽金属(富山県射水市)。同社は、大手自動車部品メーカーである「アイシングループ」の一員として、これまでグループ全体で培ってきた震災経験と教訓を災害対策に生かし、防災・事業継続の両面で体制強化を進めてきた。能登半島地震の被災を経て、現在、同社はどのような新たな取り組みを展開しているのか――。
2025/08/11
-
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/08/05
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/08/05
-
-
カムチャツカ半島と千島海溝地震との関連は?
7月30日にカムチャツカ半島沖で発生した巨大地震は、千島からカムチャツカ半島に伸びる千島海溝の北端域を破壊し、ロシアで最大4 メートル級の津波を生じさせた。同海域では7月20日にもマグニチュード7.4の地震が起きており、短期的に活動が活発化していたと考えられる。東大地震研究所の加藤尚之教授によれば、今回の震源域の歪みはほぼ解放されたため「同じ場所でさらに大きな地震が起きる可能性は低い」が「隣接した地域(未破壊域)では巨大地震の可能性が残る」とする。
2025/08/01
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方