■地震のノイズから予兆を知る

冒頭から地震を予測するなんて無理であると悲観的なことを述べてきました。が、意外にもイギリス・ケンブリッジ大学のウェブサイトに「実験室で地震の予測に機械学習を使用」というタイトルの記事がありましたので、これを参考に気を取り直して地震予測のアプローチを覗いてみましょう。
https://www.cam.ac.uk/research/news/machine-learning-used-to-predict-earthquakes-in-a-lab-setting

イギリスとアメリカの研究グループが地震の予測に機械学習技術を使い、実験室で模擬的に地震発生のタイミングを予測し、これを実際の地震に応用しようという試みです。ここでは機械学習に取り込むデータとして「音響データ」を使うと記事は述べています。

地震と地震を起こすきわめて小さな動き、断層の相互作用から地震を予測しようというものですが、このとき断層の動きから発せられる音を分析してそのパターンを機械学習に使うらしいのです。

実験室では鉄のブロックを用いて実際の地震に近い物理的な力を真似ることによって、そこから発せられる地震の信号と音を記録します。このとき機械学習を使って断層から伝わっている音響信号と崩壊の近さとの関係を見出すのだそうです。

これまで機械学習と言えば、素人の筆者などはせいぜい目に見える色や形や動きなどがデータとして使えるのだろうと思い込んでいました。が、ただのノイズでしかない音を地震の予知に使おうというのは初めての試みであるとのこと。ルート・ルデュックという研究者は「人間では手に余る膨大なデータセットを機械学習はバランスよく分析してくれるので、さまざまな発見ができるのだ」と述べています。