2016/05/24
誌面情報 vol55
戦略的な被災企業の支援へ
課題の解決に向けて
RESASの活用
これらの課題のうち、①企業・産業活動の商流が静的情報の把握にとどまったことについては、RESAS(政府が各自治体に提供している地域経済分析システム)を用いることで、ある程度の域内商流の概要を把握したり、中小規模の事故・災害発生時のインパクトが把握しやすくなるはずだ。
RESASは、内閣官房と経済産業省が地域経済活性化を目的に、2015年4月から提供を開始したシステムだ。企業間取引や人の流れ、人口動態などのビッグデータが可視化でき、産業・企業別の情報照会・分析機能を使うと、地域のどの産業がどの他地域との結びつきが強いかを、販売・仕入れ情報に基づいて分析することができる。このため、複数自治体間での政策連携に使うこともできる。使用している情報は、企業信用調査大手の帝国データバンク「企業間取引情報」に基づく。
また、個別企業分析機能を使うと、地域内企業と地域内外の取引企業との関係(販売・仕入れ)を分析することもできる。さらに、地域内企業群から下記の要素で抽出して、地域経済を支える「地域中核企業」を特定し、行政として個々の企業別に支援したり、具体的な産業政策を立案したりできるようになる。
◇ コネクターハブ企業:地域の中でも取引が集中し(ハブ機能)、地域外とも取引をしている(コネクター機能)企業
◇ 雇用貢献型企業:雇用創出・維持を通じて地域経済に貢献している企業
◇ 利益貢献型企業:利益・納税
企業間取引のデータは本社ベースのため、実際の商流やロジスティクスとは異なる部分もあるが、RESAS以外の情報源と推測を併せることでおおよその状況を把握することが可能となる。
RESASを使って事前に地域中核企業群を特定しておけば、地域経済に影響度が大きい企業群には、早期に企業防災やBCMへの取り組みを促すなどの展開も可能になる。さらに、地方自治体は、大規模災害発生時に、災害対策本部で地域中核企業群の被災状況を確認し、その地域雇用や経済に対するインパクトを分析することで、首長の判断で特定企業の復旧を緊急支援できる。
過去の新潟県中越沖地震などの大規模災害では、特定企業(地域外に利害関係者がいる上場企業の場合もある)に対するインフラの優先復旧や緊急車両指定証の配布といった緊急支援を、住民対応と並行して、または住民対応を一部延期して実施した事例が存在する。
誌面情報 vol55の他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/08/05
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/08/04
-
-
-
-
令和8年熊本地震 猛暑の被災地で熱中症を避ける
最大震度7を記録した令和8年熊本地震。熊本県内では400超の避難所が開設され、約9千人が避難している(29日時点)。真夏の避難生活は、熱中症の危険性を確実に高める。しかもこれからは、猛暑・酷暑下での復旧活動が本格化し、多くの人々が被災地で活動する。現地で熱中症をどう防いだらいいか。熱中症と災害医療に詳しい、さいたま赤十字病院高度救命救急センターの席 望医師に対策を聞いた。
2026/07/30
-
令和8年熊本地震 広がるデマ、どう見分ける?SNSとの向き合い方
28日に発生した最大震度7を記録した熊本地震では、早くも豪華寝台列車「ななつ星」が脱線したなどのデマ情報が広く拡散された。災害のたびに、広くSNSで拡散される情報にどう向き合えばいいか。デジタル空間の情報分析を専門とする Japan Nexus Intelligence の竜口七彩氏に聞いた。
2026/07/29
-
-
事例研究で有事に備え、組織の体質改善で形骸化を防ぐ
組織レジリエンスの強化やサイバーセキュリティーの向上、サプライチェーンの強靭化など、危機管理やリスク管理担当者が関与する領域は年々拡大している。変化する社会状況にあわせ、担当者はどのように学び、備え、対応することが求められるのか。森総合研究所代表の森健さんは、自治体と企業で危機管理担当者としての経験を積み、現在はコンサルタントとして、企業や団体の危機管理の支援を手がけている。自身の経験を踏まえ、危機管理の担当者にどうアドバイスしているのか、話を聞いた。
2026/07/27
-






※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方