2016/05/24
誌面情報 vol55
Q8.
内閣府が想定している都心南部直下地震には確率が書かれていません。
2013年に内閣府が発表した地震想定の発生確率は出していません。具体的な被害想定を導くために選んだのが都心南部直下地震です。2004年の想定では東京湾北部地震を想定していましたが、震源となるプレート境界のその部分が1923年関東地震で破壊されたことがわかりました。東京湾北部のプレート境界は次の関東地震までは破壊されないと考えられ、その地震が起こる確率はほぼ0から5%とかなり低いと評価されました。それでも東京にいて一生で1回経験する確率です。運が良ければ起きないが、運が悪いと起こる。起きても不思議はないので備えるしかありません。
Q9.
地震の予知は可能なのでしょうか?
まず、私がセンター長を務める地震予知研究センターは予知の研究をやっていますが、予知をしているわけではありません。研究の進んでいる東海地震では、プレート境界で地震発生前に起きる「前兆すべり」を検知しようとしています。実験室の岩石実験では確かめられています。しかし、野外のプレート境界で実証はされていません。原理的にはプレート境界で同じようにモニターできれば予知はできます。ただし、現状のモニター体制では確実な予知には不十分です。例えば地下20kmにセンサーを設置するにも温度が高温で圧力も高いので、現在の技術では現実的ではありません。それでも技術は進歩します。私が生きている間に確実な予知が可能になるかはわかりませんが、いつかはできると思っています。
ただし、間違っても、どの地震も予知できると思わないでください。内陸の多くの活断層は1年に1㎜も動きません。1種類の薬ですべての病気の治療ができないように、地震予知も1つの方法がどこにでも適応できるものではありません。
平田 直(ひらた・なおし)
東京大学地震研究所
地震予知研究センター長・教授
東海地震判定会会長、文部科学省・首都直下地震防災・減災特別プロジェクトリーダーなどを務める。著書に「地殻ダイナミクスと地震発生(分担、菊地正幸編)」(朝倉書店)、「巨大地震・巨大津波─東日本大震災の検証─」(共著・朝倉書店)、「首都直下地震」(岩波新書)などがある。東京大学大学院理学系研究科地球物理学専攻博士課程退学、東京大学理学部助手、カリフォルニア大学ロサンゼルス校ポスドク研究員、千葉大学理学部助教授、東京大学地震研究所助教授を経て、1998年より東京大学地震研究所教授。前地震研究所長。2011年より地震研究所地震予知研究センター長。
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