地区防災計画についていくつか疑問に思っていることがある。コミュニティベースの防災活動の重要性は十分理解しているし、既にさまざまな活動をされている団体もある。それを地区防災計画という枠にはめ、オーソライズする意味はどこにあるのか、地区防災計画として格上げする必要性について疑問に感じている。

もう1つ、コミュニティベースというのは地縁組織とも言い換えることができるかもしれないが、今日の社会は地縁を超えたつながりもたくさんある。伝統的な地縁社会を否定するわけではないが、例えば、NPOや国際的なNGOが初動対応の段階で入ってくる可能性は十分あって、「コミュニティベース」という枠でしばったときに、こうしたつながりをどう解決していくかは重要な問題になる。

それから地区防災計画は、災害対策基本法の中でいうと、事前の準備、ファーストレスポンス、そして復旧・復興期の3つの流れの中でそれぞれ役割を果たしていく必要があるが、現状ではファーストレスポンス(初動)に重点が置かれ、偏りすぎているように感じている。この点はもう少し均していった方がいいかもしれない。いずれにしても、良い事例を少しでも多くつくっていくことが重要な役割になると思っている。

 

 

私どもの研究所は、東京駅周辺防災隣組という東京駅近くにある企業の防災活動の事務局を務めている。この地区は、住んでいる人が非常に少なく、モナカに例えるとアンコが非常にカスカスのエリアで、災害に立ち向かおうというベクトルが起きにくい。このアンコをどう上手に練るかという活動を10年ぐらいやっている。アンコになりにくい希薄な部分、地縁が薄い部分でどうやってコミュニティをつなげていくかをICTなどの力も借りながら工夫しながら実践してきている。

地域で防災活動の世話をしている方は、おそらく同じような思いが多少たりともあるだろうが、我々の活動というのは本質的には勝手にやっていることに過ぎない。それに何かの庇護があってくれることは、活動している人間にとっては好ましいことである。一方で、それをどういう基準で認定してもらえるのか、ややこしい議論が今後出てくるかもしれないが、やっている人間にとっては、条件や基準はどうでもよく、とにかく懸命さを認めてもらいたいという思いがある。ほどほどに基準をつくっておいて、適用は柔軟にということを期待したい。