2014/09/20
C+Bousai vol1
地区防災計画学会が設立記念シンポジウム

地区防災計画学会は6月29日、設立記念シンポジウムを大阪市内で開催した。冒頭、神戸大学名誉教授の室﨑益輝氏が地区防災計画の重要性と学会の役割について講演。続いて京都大学防災研究所教授の矢守克也氏をコーディネーターに、室﨑氏、東京大学大学院工学研究科教授の小出治氏、一般財団法人都市防災研究所上席研究員の守茂昭氏、株式会社地域計画建築研究所代表取締役副社長の堀口浩司氏、内閣府(防災担当)普及啓発・連携担当参事官室総括補佐西澤雅道氏が「地区防災計画の可能性と今後のあり方」について意見を交わした。


地区防災について、私は3つのキーワードから考えていくことが大事だと思っている。1つはコミュニティベース、地域密着という視点から考えるということ。2つ目が、ソーシャルキャピタル、すなわち社会資本という視点。3つ目がボトムアップによる取り組みであること。これら3つのキーワードは共通する点もあるが、それぞれニュアンスは異なる。
コミュニティベースは、自分たちの街は自分たちコミュニティで守っていくという概念。溺れかかっている人が目の前にいた時、近くにいる人しか助けられない。こうした自衛の精神が地区防災には求められる。
ソーシャルキャピタルは、日本社会全体が安全になるためには、ハード整備だけでなく、コミュニティの力が不可欠ということ。お菓子のモナカの理論に例えると分かりやすいかもしれない。モナカは皮とアンコからできているが、まちづくりも同じで、皮は幹線道路やさまざまな社会インフラであって、中身のアンコは路地裏で行われているさまざまなまちづくり活動である。この両者があって良質な“まち”ができあがっている。防災も、皮とアンコの両方がないといけない。ダムや堤防について、それだけを取り上げ必要性を議論するのではなく、アンコとなる防災活動と両面をバランス良く、相対的な質を高めていくことが重要だ。
C+Bousai vol1の他の記事
おすすめ記事
-
-
新型コロナでBCPはどう変わる!
「事業継続及び防災の取組に関する実態調査を読み解く」最終回は、新型コロナにおけるBCPの発動について。
2022/05/25
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2022/05/24
-
従業員へ取り組みを浸透させる!
「事業継続及び防災の取組に関する実態調査を読み解く」第5回は、リスクへの対応を実施していく上での課題について。
2022/05/24
-
対象とする災害を増やせばBCPは機能するのか?
今号から、何回かに分け、内閣府「令和3年度企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」の結果を解説するとともに、防災・BCPの課題を明らかにしていきたい。第4回は、対象とする災害について。
2022/05/22
-
トレンドだけの「後追い」リスク想定になってないか?
今号から、何回かに分け、内閣府「令和3年度企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」の結果を解説するとともに、防災・BCPの課題を明らかにしていきたい。第3回は、重視するリスクについて
2022/05/22
-
-
被災時に役立ったのはBCPではなく安全確保や備蓄
今号から、何回かに分け、内閣府「令和3年度企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」の結果を解説するとともに、防災・BCPの課題を明らかにしていきたい。第2回は、被害を受けた際に有効であった取り組みについて
2022/05/19
-
最後に駆け込める場所をまちの至るところに
建築・不動産の小野田産業は地震や津波、洪水、噴火などの自然災害から命を守る防災シェルターを開発、普及に向けて取り組んでいます。軽くて水に浮くという特色から、特に津波避難用での引き合いが増加中。噴火用途についても、今夏には噴石に対する要求基準をクリアする考えです。小野田良作社長に開発の経緯と思いを聞きました。
2022/05/18
-
新しいISO規格:ISO31030:2021(トラベルリスクマネジメント)解説セミナー
国際標準化機構(ISO)は2021年9月、組織向けの渡航リスク管理の指針となる「ISO31030:2021トラベルリスクマネジメント」を発行しました。企業がどのようにして渡航リスク管理をおこなったらよいか、そのポイントがまとめられています。同規格の作成にあたって医療・セキュリティの面から専門的な知識を提供したインターナショナルSOS社の専門家を講師に招き、ISO31030:2021に具体的に何が書かれているのか、また組織はどのようなポイントに留意して渡航リスク管理対策を講じていく必要があるのかなど、具体例も交えながら解説していただきました。2022年5月17日開催
2022/05/18
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方