2014/09/20
C+Bousai vol1

南海トラフ地震で太平洋側の沿岸部を中心に甚大な被害が想定される四国。現在、四国地方整備局が中心となり、国、県、ライフライン企業、大学など産官学の関係機関が一体となり、被災後に地域全体を早期に復旧させるための計画「四国地震防災基本戦略」を策定している。比較的被害が少ないとされる香川県から、被害が大きい高知県や徳島県の沿岸部に救助部隊や救援物資を送る、いわゆる「くしの歯作戦」を展開しようというのが基本的な考え方。基幹道路となる高速道路を早期に開通するとともに、空港などの主要拠点から高速インターチェンジまでのアクセス道を優先的に整備するなど、血液となる支援物資を早期に被災地に送り届けられるようにする。現在、この戦略の達成に向け香川県内での行政や民間企業の連携が話し合われている。

一方で、行政単位より小さなコミュニティを継続させるために、高松市がモデル的に取り組んでいるのが「地域コミュニティ継続計画」だ。自治会レベルで住民が主体となり、平時における防災体制と災害発生後の対応などを考えていくというもの。高松市総務局次長・危機管理課長の河西洋一氏によると、「東日本大震災後の地域防災計画の改定作業において、議会サイドからは『役所の中だけで計画を作っても、市民と一緒に防災の取り組みができなければ意味が無い。市民に対して地域防災計画の内容をより分かりやすく伝えるとともに、市民が高松市の地域防災計画に参画できるような制度を作らないとうまくいかない』という指摘を受け、地域防災計画に書かれている市民活動に関わる内容をできる限りコンパクトに集約するとともに、災害時に地域コミュニティはどう取り組めばいいかなどを検討してもらう仕組みとして、2013年度に地域コミュニティ継続計画制度を作った」とする。
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