本年度の「防災白書」に地区防災計画制度に関する特集が組まれました。「共助による地域防災力の強化~地区防災計画制度の施行を受けて~」をテーマに、地域防災力強化の方向性について検証を行っています。26年版は2014 年6月20日に公表されています。
(文章:専修大学 金思穎 Jin Siying)

 

1.はじめに

「防災白書」は、「災害対策基本法」に基づき、1963年から政府により毎年公表されている法定白書です。2014年6月20日に公表された本年度の白書では、「地区防災計画制度」に関する特集が組まれました。

そこでは、「共助による地域防災力の強化~地区防災計画制度の施行を受けて~」をテーマに、地域防災力強化の方向性について検証を行っています。

本白書は、これまでその時々の重要課題について特集を組んで検証を行っており、防災関係の文献としては、最も引用されることが多い文献の1つです。

本白書公表直後の6月29日に、産学官民の有志によって地区防災計画学会の設立総会が開催されましたが、このような白書の特集の内容を踏まえますと、本学会の活動は、まさに、防災のメインストリームに乗っているといえると思います。

本年度の白書では、内閣府によって収集された最新データの分析が行われているほか、産学官民の関係者が、先進事例についてコラム形式で執筆しており、当学会の関係者も多数これらの執筆に携わっていらっしゃいます。

以下、その特徴的な部分について、簡単に紹介させていただきます。

2.地域活動(地緑活動)と防災活動との関係

東日本大震災などでは、被災者を支援すべき行政自体が被災してしまい、その機能が麻痺しました(公助の限界)。その教訓を踏まえ、首都直下地震、南海トラフ地震等の大規模広域災害時の被害を少なくするため、地域コミュニティにおける自助・共助による「ソフトパワー」を効果的に活用することが不可欠であるとしています。