4.事業者の地域コミュニティとの協力関係

次に、2014年1~3月に内閣府が実施した郵送調査である「平成25年度企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」を分析しています。

本調査は、企業の事業継続計画(BCP)の作成率を調べるために隔年で実施されてきたものですが、本年より、事業者と地域コミュニティの関係についても分析を行っています。

その中では、事業者による地域コミュニティとの連絡体制の構築、災害時応援協定の締結などの動きがみられることから、事業者の地域コミュニティとの協力関係の構築が進展しているとしています(図3参照)。

写真を拡大  図3 事業者の地域コミュニティとの協力内容

 

5.まとめと今後の方向性

上記を踏まえますと、①地域活動(地緑活動)と防災活動との関係の強化、②地域コミュニティと行政の連携、③事業者と地域コミュニティとの協力関係の構築が、地域コミュニティ全体の防災力の向上につながるということになります。

そして、これらを受けて、地域防災力の向上を図るため、2013年の災害対策基本法の改正で創設された地域コミュニティの住民および事業者による自発的な防災計画である「地区防災計画制度」を普及させる必要があるとしています。

また、地域防災力を強化するためには、地域コミュニティの活性化が必要ですが、防災をきっかけに地域コミュニティのソーシャル・キャピタル(①人的なネットワーク、②お互い様の意識〈規範・互酬性〉、③相互の信頼関係の要素を中心に社会的な効率を高めるもの)が活性化しています。地域コミュニティの活性化と地域防災力の向上は、表裏一体の関係にあることから、今後は地区防災計画制度が、地域防災力の向上だけでなく、地域コミュニティの活性化を通して、地区の実情に応じたきめ細かいまちづくりにも寄与する可能性があるとしています。

最後に、今後は自助・共助による「ソフトパワー」を強化するとともに、地域コミュニティにおけるソーシャル・キャピタルを促進することによって、地域防災力の向上と地域コミュニティの活性化が期待されるとしています。