多彩なジカウイルスの感染経路

ジカウイルス感染は、主に蚊に刺されることにより起きます。ジカウイルスは、分類学的には日本脳炎ウイルスの仲間で、デングウイルスと近縁のウイルスです。ウイルスを媒介する蚊として、ネッタイシマカ、ヒトスジシマカなど多種類のヤブカが確認されています。

別の感染経路として、母子感染(胎内感染)、輸血、性行為による感染などが知られています。ジカウイルス病流行地からの帰国者から、性行為によって渡航歴のないパートナーへジカウイルスが感染したと考えられる事例が報告されています。

以上より、ジカウイルスの感染経路は、日本脳炎、デングウイルス感染病やウエストナイルウイルス病の感染性と、ウイルスの分類学上は非常に近いウイルスですが、かなり違うことが分かります。 

ジカウイルス感染病における(血流中に多量のウイルスが存在する)ウイルス血症の持続期間ですが、妊婦以外では、血液中で発病後58日間、血清中で発病後11日間ジカウイルス遺伝子が検出されたという報告があります。 一方、妊婦がジカウイルス病を発病した場合のウイルス血症の持続期間は長く、胎児がジカウイルスに感染した妊婦において、ウイルス感染後10週間後でも妊婦の血中からジカウイルス遺伝子が検出されています 。

出産後8日目に母乳からジカウイルス遺伝子が検出された報告はありますが、ウイルス粒子が分離されたという報告はなされていません。現時点では、唾液、尿、母乳を介して感染した事例の報告は見当たりません。