桑折町では、地区防災計画をすべての地区に作成する方針。協議会では既に2013、2014 年の2 度、防災訓練を実施している。この訓練で取り組んだのは、一時避難場所・避難ルートの確認、地震を想定した避難訓練、避難所の開設訓練、炊き出し訓練、半田地区の連絡体制図の作成である。防災計画をゼロから作成するより、この訓練内容をもとに1冊の本にすれば、半田地区の防災計画ができるのではないかと考えた。既に町内会ごとの一時避難場所や避難ルートは決まっており、住民の安否確認方法も決められているので、計画策定の時間短縮を目指した。

2014年12月、半田地区防災計画作成委員会を立ち上げ、作成委員は協議会の役員と町内会長会とした。半田地区は奥羽山脈の裾野に広がる土砂災害警戒区域にある。百年前には半田沼の決壊による土砂災害が起きている。起こり得る災害としては、水害、土砂災害、地震、半田沼の決壊、そして原子力災害がある。持続的に事業を行うために、今まで2回の防災訓練の成果を地区防災計画書にまとめたが、今度はその計画をもとに防災訓練を実施する。また、地区の3 分の1は高齢者なので、介護を要する方の安否確認や避難補助は地域でできるようにしたいと考えている。

防災計画の構成は、大きく2つに分かれている。第1章は「平常時」にすべき
こと。避難所、避難ルートの確認や家族の安否確認方法、家庭での備蓄品など、
災害が起こる前にあらかじめ準備しておく内容である。第2 章では、「災害発
生時」にどう行動するかについて列記してある。どういう場合に避難が必要なの
か、避難する際の注意点や、介助の必要な方の避難についても触れている。

この防災計画は各家庭に配布して終わりではない。計画をもとにした防災訓練を毎年実施する予定である。実践的な訓練を積むことで災害時に対応できるようにすることはもちろん、訓練の過程で現状に合わないような部分は補正する。一度作ったら5年、10年そのままではなく、手直し等をしていく方向にしたいと思っている。

課題としては、防災計画書は、3 度の作成委員会を経て形らしいものになってきたが、作成する段階ではある程度行政のサポート必要であるということ。自主的に作成となると、かなりハードルが高くなると思う。計画の骨格を行政の担当者に作ってもらい、それをもとに地元住民が意見を出し合って、その地域の実情に合ったものを位置づけしていけるような手法で作成してきた。

2つ目は、協議会役員の改選問題である。町内会長の任期は概ね2年。4 年も経つと、おのずと協議会役員も総入れ替えの状態となってしまう。防災訓練を続けるに当たり、役員が頻繁に替わってしまうと、うまく引き継ぎがされないまま、せっかくの訓練が無駄になってしまう可能性もある。

計画作成のスケジュールは、既に3回の作成委員会を経て概ねでき上がっている。4回目の作成委員会で完成とし、半田地区防災計画(暫定案)モノクロ印刷版の計画書を半田地区の全家庭に配布する。この計画(暫定案)をもとに、防災訓練を実施する。そして訓練成果を反映させた地区防災計画書をカラーで印刷し、全戸に配布する予定である。

最後に、災害の際、自助・共助・協働が普通に行える、そんな地域になれば望ましいと思う。