2016/06/30
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
車が水没した時の脱出方法とは?割れるのは横と後ろのガラス!
車がすべて水没していたら、ドアを開けることが可能になる場合もあります。しかし、途中までの水没だったら、水圧によりドアも開けられません。窓さえ開けられたら助かるのに・・・という場面で、どこの窓をどうやって割ればいいか、ちゃんと知っておきたいものです。
まず、フロントガラスは、正面衝突しても運転者を守る様にできている合わせガラスです。ガラスとガラスの間にレジリエンスな中間膜があって、衝撃を吸収するので、人の力では割ることができません。割れるのは、横と後のガラスです。横と後のガラスは強化ガラスです。通常のガラスよりも割れにくくなっていますが、車外脱出ツールで簡単に割ることができます。割ったとしても、粉々になり、できるだけ鋭利な割れ口にならないようになっています。
車の前方が水没を始めたら、横より後ろのガラスを割るほうが、脱出しやすいこともお忘れなく。
「車のガラスについて」(旭硝子/自動車ガラス相談室)
http://www.agc.com/automotive-glass/lamisafe/products/alacarte.htm
(7月1日追記:最近は前席ドアガラスにも遮音幕を挟んだクルマが出てきています(例えばトヨタ・プリウスのAグレード以上)。このようなガラスは、合わせガラス同様、ツールで割っても幕が邪魔をして脱出しにくい場合がありますので、そうした場合は後席以降のガラスを割って脱出してください。詳しいガラスの種類については、車のカタログでご確認ください。)
私が持っているのは、これ。

ResQ Me
https://www.resqme.com/jp/index.html
バネで小さな突起物が勢い良く飛び出す仕組みなので、女性の力でも簡単に割ることができます。ここ重要!
もしも、何も持っていない時に水没したら、小銭をビニールにいれて、ハンマーのようにして、窓にぶつけるというアドバイスも見たことがありますが、割れる気がしません。そんなにいつも小銭あるわけでもないし・・。
また、ヘッドレストをはずして、先端でガラスを割れ・・というのもありますが、やっぱり力がいりそうです。ハンマータイプの脱出ツールも、そんなわけで、振り下ろす力がだせたらいいけど、体が震えている時、力がでるかいまいち不安で。
その他、小さいからハンドルまわりに置いておけることや、リーズナブルな値段であることも嬉しいので、これにしました。力のある方はもっと選択肢もたくさんありますね♪
車外脱出ツールでもうひとつ重要なのが、シートベルトを切れること。シートベルトのカチッと着脱する所まで水没してしまうと、あの、カチッができなくなるので、カッターが必須となります。横転したときも自分の体重の重みでシートベルトが取れないというし、カッター、必要ですね!
何を選べばいいか、国民生活センターが2012年ですが、性能テストを公開しています。カッターですばやく切れるかで差がでています。
国民生活センター
自動車用緊急脱出ハンマーの性能
―シートベルトカッターが付いているものを対象に―
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20120510_1.pdf
さて、九州をはじめ水害が各地で発生していますが、アウトドアの知見や水難救助の実態からは、ありえない水害対策が大手メディアや自治体のホームページなどに掲載されていることもあります。
ですので次回も引き続き洪水対策についてお話ししたいと思います♪
(了)
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