2019/08/29
昆正和のBCP研究室
■目次構成の一例
参考までに、筆者が中小零細企業向けのBCP策定指導で使用している目次構成(表紙周りも含む)とそのポイントを述べておこう。もちろんこれは固定的なものではなく、業種や会社の方針・風土、規模、業務の特性に応じてカスタマイズする必要がある。他にも中小企業庁BCP策定運用指針や東京商工会議所版BCPその他の団体が公開している様式もあるので、どれが自社にとってベターかは、実際にいくつかを比較検討して選定することが大切だ。
・目次:見出しの階層や分岐を細分化しすぎると、必要なページを探すのに時間がかかるので注意。
・基本方針:BCPの目的、対象事業、適用範囲などを明記。
・災害および被害想定:会社として最も警戒すべき災害リスクと被害の想定を記述。
・緊急時の体制:対策本部メンバーの参集と各自の役割、対策本部の主な活動概要。
・初動対応手順:防災マニュアルなどにこの手順の記載があれば、それを添付するだけでよい。
・重要業務の種類と事業継続手順。
・災害復旧要件:復旧に必要なリソースの一覧
・資金確保に関する規定
・訓練・教育に関する規定
・文書管理規定:BCP文書の見直し、配布・保管・廃棄に関する規定、改訂履歴など
■基本方針の書き方
基本方針という名称は少し漠然としているが、ここでは「BCPの目的」「対象事業」「適用範囲」の3つの総称を指すものとする(BCP対応の要約を、冒頭に基本方針として掲げるBCPもあるので「基本方針」の定義は各社各様でよい)。
(1) BCPの目的
「災害が発生したとき当社はBCPで何を守り、何を維持するのか」。これについて箇条書きで簡潔に書こう。従業員(家族)を守る、雇用、供給責任、競争力、ブランドの維持などが挙げられるだろう。事業の得意分野や強みを生かした災害時協力協定なども含めてよい。復旧対応が遅れると地域の住民や社会、経済に大きな打撃や損失をもたらす業種については、地域社会や地域経済の安定を第一とする目的を掲げることも重要だ。
(2)対象事業(中核事業名)
例えば、ある会社が主力事業部門と派生的な複数の事業部門を持つ場合は、主力事業名(主力製品 or サービス名)をBCPで守るべき「中核事業」として明記する。ただし他の派生的事業名も併記しておくにこしたことはない。というのは、災害が起こった時、派生的事業部門が甚大な被害を受ければ、その影響が中核事業にも及ぶ可能性が高いからである。現実にはどの事業部門が被災しようとも、あらゆるリソースを駆使して全力で被害の軽減と早期の回復を図らなければならないのである。
(3)適用範囲
これは、1つのBCPでどこまで中核事業のリソースを守るのかということである。製造業であれば、例えば{本社、工場、倉庫、研究所、営業支店X,Y,Z}といった書き方ができる。基本的に1つの災害の影響が及ぶ範囲内のリソースが対象となるが、戦略的に影響圏外のリソースを活用しようというのであれば、遠方の事業拠点や特定の利害関係先を含めてもよい。
(了)
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