流動食の作り方実験 

 

※赤枠は液体ミルク

では、読者の皆さんにも、基本編の作り方をご紹介しましょう。
まず、ドラッグストアで、幼児用の食べ物の中から“主食”になりそうなものを選びます。さらに、スーパーで子どもたちが普段食べているおやつも加え、合計13種類としました。これに2つの液体を室温で加えて流動食を創ります。1つは今年5月わが国で初めて発売された江崎グリコ(株)の液体ミルク商品名「赤ちゃんミルク」、2つ目は果汁です。
詳しい作り方は以下の通りです。(実験日:2019年8月11日 室温26℃、実験者:筆者、中学生、高校生3名)

1) 備蓄食品に赤ちゃんミルクを加えた場合
・食品を粉末にし、赤ちゃんミルクを注いで離乳食を作ります。

 

【作り方】
備蓄食4グラムをチャック付きビニール袋に入れ外からたたいて砕きます。手のひら、ジュースの缶の背中でこすってもいいです。粉状になったら容器に入れ、室温のまま赤ちゃんミルクを食品の重量の約6倍、25ミリリットル注ぎ、スプーンで混ぜ5分間待つと、なめらかな流動食に変身します。

13種類で試した結果、4つのタイプに分かれました。
1. 甘すぎるもの(ただしおやつにするなら適当)
2. 硬すぎて戻りにくく、時間がかかるもの(カップラーメン、ただし粉末にすれば早く戻る)
3. 粘り気が少ないもの(ボーロ、クッキーなど。ただし食品のグラム数を多くすれば適当)
4. 生でんぷんのため、加熱しないと食べられないもの※要注意(そうめん、うどん)
でした。

しかし、そうめん、うどんを除いた他の食品は全体的にミルクの味が引き立ちまったりしておいしい。最もおいしかったのは「ハイハイン」(亀田製菓)でした。味が控えめで味わい深く粘りも程よく、口当たりが滑らかで良好と評価されました。参考までに使った食品を表示しておきました。

和光堂の「米がゆ」はでんぷんをアルファ化(煮えた状態)した後、粉末にしてあるので、室温の液体で溶かすことは問題ないとのことです(お客様相談室からの回答、2019年9月5日、奥田)。

2) 備蓄食品に市販100%果汁缶を加えた場合
・上記と同様の食品に、果汁グレープフルーツジュース(神戸居留地)を注ぎ入れて離乳食を作ります。

 

※赤枠はグレープフルーツジュース

【作り方】
備蓄食にグレープフルーツジュース25ミリリットルを加え、5分間放置した後試食しました。ジュースの味が前面に出ていたので、各自の好みのジュースを選ぶことをおすすめします。

結果は1)と同様でした。特にハイハイン、亀田製菓が優しい味で粘りも程よく、離乳食に最適でした。

以上、離乳食について述べましたが、高齢者についても同様に考えることができます。今回試した食品のほとんどは高齢者用ではなく幼児用ですが、高齢者にそのまま流用できることが分かりました。例えばハイハインを上記のように流動食にすれば、えんげ(嚥下)困難な高齢者、食べ物がのどにつかえて飲み込みにくい高齢者、災害時の混乱で入れ歯を見失った高齢者にふさわしい食べ物です。サジですくって舌に乗せるとそのまま飲みこむことができ安心安全な食事に早変わりします。