昆正和の「これでいいのか!本当に必要なのは命と会社を守るBCP」
■BCPは本当に普及しているのか?
東日本大震災から5年を過ぎた今、国の発表によれば、大企業のBCP策定率は6割、中堅企業は3割に達し、安心で明るい未来を予感させるような数字が並んでいます。しかし筆者としては、本当に公表されている数字どおりにBCPは普及しているのか、疑問を抱かざるを得ません。
というのは、企業の現場からはまったく別の声が聞こえてくるからです。これは筆者個人の印象にとどまるものではありません。みなさんの周囲のお客様や取引先などに「あなたの会社ではBCPを持っているか、作る予定はあるか?」と尋ねてみてください。少なからず次のような答えが返ってくるでしょう。
「いや、BCPなんて持っていない。役に立つとも思えないし」
「もうブームは去ったでしょう。誰も関心を持ってないよ」
「BCP? あんなワケの分からんモノ、いくらがんばったって作れっこないよ」
本来はBCPの普及啓発に大きな役割を果たすはずのマスメディアも、今やBCPについてはあまり話題にしなくなりました。「BCP」を口にすること、文字にすることを避け、「そのテーマはもう結構ですから、防災対策の寄稿を書いてもらえませんか?」と要望する編集者も少なくありません。
こんな状況ですから、もし大企業や中堅企業にBCPが普及しているとすれば、それらは原則的な考え方とは程遠い、つまり従来の一般的な防災計画に限りなく近いものではないかと。
防災計画ではダメというわけではありません。これから具体的に見ていきますが、なにしろBCPの原則論に忠実であろうとすればするほど、企業の実態とかみ合わない、企業が望むものとはかけ離れたBCPができてしまうのです。大企業や中堅企業はそうした矛盾とどこまで折り合いをつけたのだろうかと思うわけです。
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