アンサンヒーローとして

私は、警備員はアンサンヒーローであると考えています。

アンサンヒーロー(Unsung Hero)
〔達成した偉業を正しく評価されることのない〕陰の英雄[ヒーロー]、縁の下の力持ち◆【直訳】詩歌にうたわれたことのないヒーロー
(出典:https://eow.alc.co.jp/search?q=unsung+hero

警備員の存在が事件や事故の抑止につながり、私たちに安心感を与えています。何も起こらない普段の生活を続けていくためには彼らの存在が必要なのですが、何も起こらないことが日常になっているとそこに警備員の存在が必要であるという意識が薄れていきます。警察官や消防士のように事件や事故の現場で表立って活躍する姿が伝えられることはほとんどなく、警備員は常に陰に隠れた地味な存在です。しかし、少し周りを見渡してみると、警備員は私たちの生活に一番身近であり、寄り添い支えてくれている存在であるとわかります。万一の危険な状況下では、私たちのために怯まず戦うこともあります。まさにアンサンヒーローだと思うのです。

とはいえ、日本における警備員のイメージはあまり良くないですよね。警備員自身も「3Kだし、給料安いし、拘束時間長いし、暑いし、寒いし、怒鳴られるし、最悪だ」と思っている者もいますし、一般の方々も「警備員は態度悪いし、邪魔だし、人に指図するし、最低だ」と感じている人もいます。警備員以外の人にこうしたイメージを持たれてしまうのは、警備員の側にも問題はあるのですが。
 
今連載は、警備員の社会的な地位向上を目指し、日本の警備業の現状、警備員のモチベーション、職業として下位に置かれている状況などについて、海外の警備業と比較したり、私自身の警備員(空港保安検査員)時代の体験などを交えたりしながら、書き進めていきたいと思います。そのうえで、この連載が、警備員がいなければ私たちの安全が守られなくなるという理解を促し、彼らへの協力や、一般の人々の警備員に対する意識の改革につながるきっかけになれば幸甚です。

(了)