2016/10/05
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
風は防災・減災でも重要ポイント。普段から感じていることが大切
風は、防災・減災の観点からも重要です。
1923年9月1日午前11時58分に発生した関東大震災は、午前10時の段階での風速10mの南風でした。
地震発生当初から、やや強い南風が吹いていたので、まず北側にむかって延焼しました。その後、17時台から北風にかわり、22時には風速21mの強い風が観測されています。この際、南側にも延焼が広がり、風によって、火事の被害が拡大したと分析されています。
詳しくは、こちらをご参照ください。
■防災基礎講座「災害はどこでどのように起きているか」
(独立行政法人 防災科学技術研究所 自然災害情報室)
http://dil.bosai.go.jp/workshop/02kouza_jirei/s17fire/jishinkasai.htm
火山の噴火の際も風は重要な情報になります。火山灰は風向きによって広がる方向が変わります。

http://www.town.karuizawa.lg.jp/www/contents/1001000001001/simple/map2.pdf
軽井沢で講演した際、一緒に講義をした防災課の方が「毎日、浅間山をながめて、煙の流れを観察してほしい」と語られていたのが印象的でした。火山付近に暮らす人の毎日の生活の知恵ですね。
そのほかにも、風は原発事故が起こった時に放射性物質が拡散する方向と、避難すべき方向を知るためにも重要になります。
普段から風を全く意識していないと、災害時に風に思いが至らないのではないでしょうか?
都会でも、湾岸部は風がほかの場所より強いですし、ビル風もどんな風向きの時にどのように吹くか、いつも感じていると避難の際にも役立ちます。
雨雲が迫ってきた時のヒヤっとする風の気配。肌で感じていますか?
海にでかけたら、夕凪と朝凪で風がぴたりと止まる瞬間を感じてほしいです。
野山にでかけたら、草の一部だけが、はためいて揺れる場面を見ることができます。そこは風の通り道。なぜ風がその場所を特に好んでやってきたのかがわかると、風と仲良くなれます。
9月中旬から11月までのこの季節、風を利用したタカの渡りを見ることができます。ご覧になったことありますか?
上昇気流がある場所を利用して、何度も旋回したあと直線で滑空する様は、グライダーと同じ原理です。南へと暖かい地方へ移動していきます。
タカ柱と言って、タカが何羽も旋回する様を見ると、ここは風の谷なのだなと感じます。
タカの渡り情報はこちらで
「タカの渡り全国ネットワーク」
http://www.gix.or.jp/~norik/hawknet/hawknet0.html
災害時にしか、風を意識しないなんてもったいなさすぎます。
日常で、風を感じ、効率よく防風をしながら、風が語ってくれる情報に耳を傾けてもらえたらと思います♪
(了)
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