2016/10/05
アウトドア防災ガイド あんどうりすの『防災・減災りす便り』
風の強い日に、フリースを上着として着ても暖かくならない?
風速1m/sで体感温度は1度下がります。
(「風速」とは、風の吹く速さ。1秒間に空気が移動する距離。ふつう地上10メートルにおけるその時刻の前10分間の平均値で示す。「デジタル大辞林」より)
冬ほど気温が低くないこの季節、風の吹いた日には風を防げば体感温度は下がりません。ですが、水や空気に比べ防風の理解は乏しいのかな?と思う事例は街中で頻繁に見ます。例えば、次のような光景を見た事はないですが?
「風のある日に、ベビーカーにフリースをかけている。あるいはフリースを上着として着ている」。
「風があって、寒いと感じるが気温は低くない日に、ダッフルコートや厚手のカーディガンを着ている」。
フリースは、アウトドアのウェアリングでは空気をためる素材なので、アウターではなく、中間着になります。
風をとても通しやすい素材なので、屋内や、防風素材よりも内側に着ると暖かいですが、屋外での風の日には効果がありません。本当かなと思った方は風のある日にインナーを着ないで、フリースだけを着て外に出てみたらすぐ体感できます。
でも、フリースが寒いと言っているわけではないのです。中間着として着れば暖かい素材なのに、機能を知らずに「はおりもの」としかイメージできていないと素材を生かせないという話です。
そのため、バイク製品などいつも風をうけることを前提とするウェアでは、防風加工したフリースが販売されています。フリースをアウターにするなら、アウターの必要条件である、防風が必要になってくるという訳です。
フリースに限らず、風を通す素材を風の日に着ると、着ぶくれしがちです。
風は吹いているけど、気温はそれほど低くない場合、薄いウィンドブレーカーで寒さは防げます。
そんな日にダッフルコートや厚手のカーディガンを着ていても、効率が悪いのです。それらは気温が低い時の対策になりますが(空気の層をつくる中間着の役割についてはまた別の機会に書きます)、風の対策になっていないからです。
着るとシャカシャカと音のする、防風素材のボトムズは風の日に有効です。特に上着は防風していなくても厚着することで、体感温度をごまかすことが可能ですが、ボトムズについては動きにくくなるので、対策が手薄になりがちです。暖かそうな服を着込んでいるのに寒いなと感じたら、ボトムズを防風のものにすることを考えてみてください。
サッカーの監督などが試合中に着ている「ベンチコート」。これは、屋外での防風を意識していますね!足まで防風♪
ただ、防風を強めると内部で蒸れる場合があるので、さらに水をコントロールする必要がでてきます。そのため、レインウェアの記事で書いたように、アウトドアウェアでは、水蒸気を外に放出できる透湿防水素材が、アウターとして愛用されています。
いかがでしょうか?みなさんの日常生活で、防風は意識されていましたか?
風って日常で意識されていないので、天気予報で毎日風向きとか風速が報道されているのに、報道されていることにすら気付かなかったとおっしゃる方多くて・・。

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