写真を拡大 リチウムイオン二次電池 「DT005-01」

NECグループで大容量ラミネートリチウムイオン二次電池の開発・製造を手掛けるNECエナジーデバイス株式会社(本社:神奈川県相模原市)は9月26日、業務用ドローン向けに本格的な実運用ができる、高出力で安全性の高いリチウムイオン二次電池のプロトタイプを開発、実用化にメドを付けたと発表した。

写真を拡大 ドローンへの装着イメージ

今回新たに二次電池の正極材として、比容量(単位質量あたりの電力容量)の大きな材料を開発・採用したことで、飛行時間・飛行距離が約33%向上する。従来品と同じエネルギー量で比較すると、サイズや重量を約25%小型軽量化することが可能だ。

電極の組成を最適化し電極を低抵抗化することで、エネルギー出力密度(単位質量あたりに取り出せるエネルギー)が同社従来比(注1)で40%向上した。

ドローンの急峻な上昇下降時でも出力電流の追従性が上がり、モーター性能を十分に引き出すことができる。気流の乱れに対する飛行安定性の確保にも威力を発揮し、飛行後の電池の温度上昇も低く抑えられる。低温環境下でも高出力を維持できるため、約-10℃までの低温環境下でも電池を加温することなく飛行ができる。空撮用や地形モニター用のほか、輸送用や農薬散布用など、本格的な実運用が可能となる。

電極材料や電解液、添加剤などの組み合わせを最適化することで、充放電を繰り返した際の耐久性(容量低下特性、注2)が同社従来比(注1)で10%以上向上した。典型的なLi-Po二次電池の2倍以上だ。電池の長寿命化につながり飛行可能な回数も増加できるため、運用に必要な電池の購入数量が削減できる。正極と負極を絶縁するセパレータに高熱に強いタイプを使用することで、高い安全性を確保する。

同社が過去20年間に動力用リチウムイオン二次電池の研究・開発で培ったノウハウを基に新たに開発し、二次電池の実機による飛行性能試験にあたっては、国内ドローン分野で最先端企業の株式会社自律制御システム研究所(本社:千葉県千葉市)が評価した。

ドローンをはじめ、ロボットなど様々な用途の駆動用電源に活用できる製品として提供するとともに、実際の自然環境下でさらに長距離飛行や急峻な上昇下降を含む加速飛行などの試験を繰り返すことで、性能、信頼性を向上させ、量産化につなげる予定だ。

(注1)同社従来品(IML115/82/150N)との比較
(注2)放電容量90%・典型的な使用条件の充放電電流でのサイクル数

(了)