2017/01/24
防災・危機管理ニュース

新潟県糸魚川市は大規模火災から1カ月経過した22日から、被災者に対して被災者生活再建支援法に基づくり災証明書発行のための申請受付を開始した。市では証明書発行のため「被災者生活再建支援システム」を導入。システムを開発した中心メンバーの一人である新潟大学危機管理室災害・復興科学研究所教授の田村圭子氏は「1人の取り残しもない生活再建を目指したい」と語気を強める。

支援金は建物の被害状況などに応じ、1世帯あたり県や市の補助金も合わせ最大400万円支給される。通常であれば火災に対して同法は適用されないが、今回の大火を国が「強風による災害」と判断したため、火災被害で初めて適用された。22日には対象のおよそ半数にあたる62件のり災証明書が発行された。

「被災者生活再建支援システム」は、阪神・淡路大震災時にクローズアップされたり災証明書の発行を円滑に行うために京都大学防災研究所やNTT東日本などが産官学協働で開発したシステム。2007年の新潟県中越沖地震の柏崎市で初めて運用を開始し、東日本大震災時の岩手県や京都府の福知山水害のほか、昨年の熊本地震でも15市町村で活用された。
開発に携わった静岡大学講師の井ノ口宗成氏は「今回の大火で、システムが大規模火災にも対応できることが分かった。しかし、災害が起こってからシステムを導入するのでは対応に遅れがでる。できれば平時から導入し、訓練を積み重ねてほしい」としている。
(了)
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