右からアマゾン・渡辺氏、徳島県・坂東氏、ヤマト・宮田氏。説明会では聴講者から多くの質問が出たほか、名刺交換の列ができた

2~3日にかけて「第21回震災対策技術展横浜」が横浜市のパシフィコ横浜で開催。防災用品の展示のほか、セミナーも多く開催された。3日は徳島県、アマゾンジャパン、ヤマト運輸が合同で、三者で締結している災害支援協定について説明を行った。徳島県での発災時、アマゾンの「ほしい物リスト」を活用した避難所への物資支援を行う計画。

三者は2015年7月に協定を締結した。アマゾンのショッピングサイトには個人が必要としているものを公開し、それを見た第三者が購入しプレゼントできる「ほしい物リスト」という機能がある。これを災害時には徳島県内約1300カ所の避難所すべてにアカウントを付与。iPadなどの端末を使い、避難所にいる住民が必要とする物資をリストに掲載。善意の第三者が購入し、ヤマト運輸が主に配送を担う。

徳島県では万が一に備え、住民を対象としたiPadを用いた研修を実施。輸送車向けの通行証は東京や大阪でも発行可能。行政から災害情報の提供も随時アマゾンとヤマトに対し行っていく。

アマゾンは2011年の東日本大震災の際、世界で初めて「ほしい物リスト」を災害支援として提供。約7000カ所で10万近い物資の支援が行われた。この際は地震発生から提供開始まで1カ月を要したが、2016年の熊本地震の際は1週間で開始した。

アマゾンジャパンの渉外本部の渡辺弘美本部長は「発災から時間が経つと避難所でのニーズは変化してくる。『ほしい物リスト』で避難所から発信することでこれに対応できる。災害が起こってから行政と調整するのは難しいので、平時に協定を結ぶ必要があると感じた」と協定の意義を説明。東日本と熊本ではいずれもリクエストがあったものはほぼ全て早めに購入・配送が行われたという。

徳島県危機管理部とくしまゼロ作戦課の坂東淳課長は「東日本大震災でアマゾンの動きを知ったが、行政ではなかなか難しいことを行っていると感じた」と協定を結んだきっかけについて説明。支援物資とニーズのミスマッチや避難所ごとの不公平感の解消にもつながるとした。

ヤマト運輸のCSR推進部法務・CSR課の宮田大資課長は、「徳島のベース被災時に備え、岡山、広島、兵庫のベースでも対応する」と説明。熊本地震の際には福岡県に臨時の物流施設も借りて対応したという。災害時は拠点ごとで得る道路状態などの情報が重要となるが、行政との連携でより効率のいい情報収集を図る。

■関連リンク「徳島県、アマゾンのシステムで避難所支援」
http://www.risktaisaku.com/articles/-/550

(了)