震災発生時の津波が起こる様子を、運転席から見える実際の風景で疑似体験できる。

KDDI は15日、鉄道会社の運転士が動画で自然災害を疑似体験する「VR (仮想現実) による災害対策訓練ソリューション」の提供を16日から開始すると発表した。共同で開発をしたJR西日本は4月以降、順次導入する。運転士が担当している路線の実際の映像を使用しているのでリアルな走行感があるほか、想定浸水深や難誘導に関わる設備の確認や震災発生時の津波が起こる様子を現実に近い感覚で体験できる。KDDIによると、鉄道会社の運転士を対象にVR機器と実写VR動画コンテンツを使った自然災害対策訓練の商用化事例としては日本初だという。

今回導入するのは、JR西日本の紀勢線、和歌山県の串本駅~新宮駅の43km。南海トラフ巨大地震 やそれに伴う津波発生などに備え、同社が対策を進める区間となる。運転席から見た実際の景色から電車内の風景まで、360度撮影した高解像度の動画を使用する。

訓練者はアクセルとブレーキにあたるコントローラーを両手に持ち、列車の停止や移動の操作をする。画面上に「標高」や「キロ程」が表示され、数字は走行に応じて変化する。停止した位置と連動したJR西日本オリジナルの「津波避難アプリ」をVR画面上に表示することで、停止地点から最寄りの出口や避難場所を確認することができる。

VR機器セットは5m四方のスペースがあれば設置可能で、持ち運びもできる。訓練に関するデータは、緊急地震速報の鳴動地点やその際の対応などをログとして抽出し残し、次回の訓練に活用できる機能も備えている。


 


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