2020/05/14
WITHコロナのBCP

新型コロナウイルス感染拡大への対応で困難な状況にある日本社会において、医療と経済の双方を守る危機管理のあり方が求められている。前回、前々回に続き、6 人の危機管理分野のエキスパートによる緊急座談会を紹介する。
参加者は、日本大学危機管理学部の河本志朗教授、名古屋工業大学の渡辺研司教授、防衛医科大学校の秋冨慎司准教授、日本政策投資銀行の蛭間芳樹氏、日本防災デザインの熊丸由布治氏、重松製作所の濱田昌彦氏。司会はリスク対策.com 編集長の中澤幸介。
https://bcp.official.ec/items/28726465
リソース不足を経済戦略につなげる
中澤 各企業や各医療現場で、今後何をしていかなければいけないのか。秋冨先生の立場で、まず医療崩壊を避けなければならない事態に対する課題は。
秋冨 人的・物的リソースが足りない場合、一元化した危機管理をしないといけない。何でもかんでも自衛隊任せではだめだ。
中澤 医療の現場と経済でそれぞれの危機感、枯渇感を共有し、不足しているものをマッチングすることで解決できることも。かつて建設業は、公共事業の削減や入札制度改革などにより受注量が激減し、省庁が連携した新分野進出支援が行われた。渡辺先生、その辺りについての考えは。
渡辺 新潟中越・中越沖地震では、被災した地元業者が連携して避難者やライフライン企業に弁当を提供し、その費用は行政が出すという地産地消のサイクルによって、地域の経済・雇用を少しでも早く回し始めるという取り組みがあった。現場では需要があるわけで、観光客やビジネス客の需要がなくなった供給側をマッチングすればサイクルが回り出す。
その地域でしか分からない話で、霞ヶ関には分からないところもある。自治体や出先である各省庁の地方局が対応できればいいが。
秋冨 国民や現場のニーズを収集して、計画立案ができる組織が必要だ。民間の意見もきちんと吸い上げて、官民共同プラットフォームのようなものを作る。
今は民間にはいろんなアイデアがたくさんあるが、それが生かし切れていない。今回の新型コロナ対応で必要なことを、機能として書き出せれば、すべて自衛隊
ということにはならず、民間で対応できることも割り振りができる。今回、COVID-19用に、22のESF(エマージェンシー・サポート・ファンクション)からなる「ESF for COVID-19」を作った。未知のことなので、全てを網羅するようなかたちで作った(表:ESF for COVID-19)。
これらをマネジメントする組織の下に、セクション、チームとしてぶら下げたらよいのではないか。

WITHコロナのBCP の他の記事
おすすめ記事
-
-
燃料を止めるな! GSの防災・BCP災害時に機能する供給システムとオペレーション
石油製品の卸・販売、GS(ガソリンスタンド)運営を行う総合エナジー株式会社環境防災事業部開発・営業統括部長の服部洋氏に、災害発生時、電気や水と並んで重要なガソリンの供給を止めないための備えについてお話しいただきました。2022年6月21日開催。
2022/06/23
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2022/06/21
-
-
防災・BCPの実務ノウハウを他社にオープン化
重電機メーカーの明電舎は自社のBCPノウハウを他社にオープン化するとして、専門の事業会社レジリエンスラボを社内に設立しました。BCP/BCMの構築・運営を手助けするとともに、共同備蓄の枠組みもつくります。実際にPDCAをまわしてきた体験を生かし、現場実務に即した支援サービスを展開していく考えです。
2022/06/17
-
-
独自調査 富士山噴火時の企業の対応その2
リスク対策.comは、もし富士山が噴火したら企業がどのような行動をとるのかを探るため、 シミュレーション方式によるアンケート調査を実施。噴火警戒レベルが高まった時点、噴火発生時点、降灰が本格化した時点など、フェーズごとにシナリオを提示し、自社がとるであろう行動を選択肢から選んでもらいました。報告の第2弾として、シミュレーションを通じて明らかになった課題を解説します。
2022/06/14
-
元ニューヨーク市緊急事態管理局副長官が語る危機管理担当者の役割
危機管理担当者の役割とは何か。5月25日に開催した危機管理カンファレンスでは、元ニューヨーク市緊急事態管理局副長官で、現NYU Langone Health社エマージェンシーマネジメント・レジリエンス担当シニアディレクターのケリーマッキニー氏が講演した。2001年の同時多発テロ、そして世界最悪の感染状況とも言われたCovid-19への対応を通じて何を学んだことは何か。危機管理担当者はいかなる心構えで、危機発生時に何をすべきか。講演内容を紹介する。
2022/06/12
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方