2020/05/22
ワールド ファイアーファイターズ:世界の消防新事情
3. 地震時の落下など容器破損による漏洩&引火
新型コロナウイルスの感染対策として、消毒用アルコール商品が、物流倉庫、ホームセンター、スーパー、薬局、避難所となる学校や医療機関、高齢者介護施設、旅館、ホテルなどに常時、または一時的に大量に保管されていることが予測できるが、地震時に消毒用アルコール商品容器が落下した際に容器が破損し、アルコールの漏えい、そして、火災が発生する可能性がある。
特に地震発生の時間帯に保管場所が無人のとき、営業終了後の時間帯、定休日など、人がすぐに初期消火や火災発生の通報など、初動対応ができない場合は危険だ。またはラック式倉庫に備蓄していたなどの場合、火災が発生するとスプリンクラーが作動するが、漏洩したアルコールは比重が1より小さく、非水溶性の場合は水面に浮くため、火が水面に浮いて広がり、他の防災備蓄品、カセットコンロガスや固形燃料、ガソリンなどが入った非常用発電機の塗装や燃料タンクなどに引火する危険性があり、条件によっては爆燃火災も考えられる。落下防止やラックの転倒防止措置が必要である。
また、火災が発生していなくても、蒸気ガスの吸引による健康影響や吸収処理中の二次的な引火などによる火災発生も考えられる。このため、十分な個人防護衣や吸収材などがなければ、慌てて対応せずに消防署への迅速な通報と関係者の避難を優先すべきである。
(出典:消毒用アルコールの取扱いにご注意ください!!東京消防庁)https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/hp-kouhouka/pdf/020417-2.pdf
手など皮膚の消毒を行う場合には、消毒用アルコール(70%)を、物の表面の消毒には次亜塩素酸ナトリウム(0.1%)が「新型コロナウイルス(エンベロープウイルス*1)」を不活性化するなど、有効であることが分かっているが、使用時、保管時には十分に注意する必要がある。
また、消毒用アルコール、高濃度アルコール飲料(アルコール度数が 67.7%以上)については、貯蔵・取り扱いの量に応じて、消防法や火災予防条例の 規定が適用される場合がある。販売業者や物流倉庫、災害対策向けの防災備蓄、各種事業所における保管・使用が増加することに伴い、法令上の手続きや一定の安全対策が必要になることが考えられる。このため、合計80リットル以上の消毒用アルコールの安全な取り扱いなどについては、お近くの消防署に問い合わせていただきたい。
一般社団法人 日本防災教育訓練センター
https://irescue.jp
info@irescue.jp
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