2020/05/29
WITHコロナのBCP
感染症対応計画を策定していた組織と、それ以外の組織の差は?
では、BCP や感染症対応計画を策定している組織とそうでない組織にはどのような差があるのか。
まず、これまでの対応にどの程度課題を感じているかを評価してもらい、その結果をBCP 策定レベル別、感染症対応計画の策定レベル別にクロス分析した。下のグラフは感染症対応計画の策定レベル別にクロス分析した結果だが、どの策定レベルにおいても「ある程度課題がある」が最も高く、「まったく課題がない」との回答はほぼ皆無という点では共通している。これはBCP の策定レベル別のクロス分析でも同様の結果となった。また、回答数はわずかだが、計画を定期的に見直している組織については、「かなり課題がある」より「あまり課題がない」が若干ながら上回った。

次に、具体的な課題を探るべく、計20の項目について、1.まったく課題がない、2.あまり課題がない、3.ある程度課題はある、4.かなり課題はあるの4段階のリッカート尺度で回答してもらい、これらの回答を感染症対応計画の策定レベル別にクロス分析し、各項目について、どの程度の差が生じているかを算出した。
その結果、感染症対応計画を策定し見直している組織とそうでない組織の回答に大きな差が出たのは「BCP /感染症対応計画の策定」やその中身に加え、「状況に応じた対策の実行」「感染者が出た際の対応手順」「在宅勤務の体制整備」「日常的な教育・訓練」「日々の対応状況の記録と検証」などとなった。感染症対応計画を策定して定期的に見直している組織にとって最も大きな課題は「マスクや消毒液の備蓄」で、前号で紹介した全体平均とは異なる結果となった。
逆にこれまでの対応で役立った取組や製品・サービスについて同様の分析を行ったとこころ、「社員への感染症予防教育」「様々な事態を想定した訓練」「クロストレーニングやジョブローテーション」「全社的なリスクマネジメント活動」などの項目について、大きな差が出た。


今後、感染症対応計画や感染症を想定したBCPを策定するにあたり、こうした点を強化することが、実効性を高める上でのポイントになると言えそうだ。
https://bcp.official.ec/items/28726465
WITHコロナのBCP の他の記事
- 進む感染防止策と事業継続における課題
- 進む感染防止策と事業継続における課題
- 進む感染防止策と事業継続における課題
- 感染症対応計画を作っていた組織とそうでない組織の差
- 緊急事態宣言の解除後も在宅勤務を続けますか?
おすすめ記事
-
-
備蓄燃料のシェアリングサービスを本格化
飲料水や食料は備蓄が進み、災害時に比較的早く支援の手が入るようになりました。しかし電気はどうでしょうか。特に中堅・中小企業はコストや場所の制約から、非常用電源・燃料の備蓄が難しい状況にあります。防災・BCPトータル支援のレジリエンスラボは2025年度、非常用発電機の燃料を企業間で補い合う備蓄シェアリングサービスを本格化します。
2025/04/27
-
自社の危機管理の進捗管理表を公開
食品スーパーの西友では、危機管理の進捗を独自に制作したテンプレートで管理している。人事総務本部 リスク・コンプライアンス部リスクマネジメントダイレクターの村上邦彦氏らが中心となってつくったもので、現状の危機管理上の課題に対して、いつまでに誰が何をするのか、どこまで進んだのかが一目で確認できる。
2025/04/24
-
-
常識をくつがえす山火事世界各地で増える森林火災
2025年、日本各地で発生した大規模な山火事は、これまでの常識をくつがえした。山火事に詳しい日本大学の串田圭司教授は「かつてないほどの面積が燃え、被害が拡大した」と語る。なぜ、山火事は広がったのだろうか。
2025/04/23
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/22
-
帰宅困難者へ寄り添い安心を提供する
BCPを「非常時だけの取り組み」ととらえると、対策もコストも必要最小限になりがち。しかし「企業価値向上の取り組み」ととらえると、可能性は大きく広がります。西武鉄道は2025年度、災害直後に帰宅困難者・滞留者に駅のスペースを開放。立ち寄りサービスや一時待機場所を提供する「駅まちレジリエンス」プロジェクトを本格化します。
2025/04/21
-
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方