2017/07/21
防災・危機管理ニュース
気象庁は20日、「数値予報モデル開発懇談会」の第1回会合を開催。集中豪雨や台風といった各種予報の改善の方針を明らかにした。2018年6月にスーパーコンピューターを更新予定で、技術開発を推進。さらに大学を始めとした研究機関との連携も進めていく。
予測精度の向上として、気象庁は集中豪雨と台風を課題として挙げた。台風進路予想は欧米の気象調査機関に比べ誤差が大きく、発達や衰弱といった強度予測にも改善の余地がある。集中豪雨では九州北部豪雨を起こした線状降水帯の予測で発生位置のずれや停滞予測の改善がさらに図れるという。
観測データを集め、スーパーコンピューターが数値シミュレーションしたものを予報官が分析したうえで気象情報は発表される。気象庁では2018年に現在機の10倍の実効性能を持つスパコンに更新予定。新技術の導入も行っていく方針。
大学など研究機関との連携では主に気象庁の研究業務を行っている気象研究所を通じ、人材交流や共同研究を行うほか、研究機関から知見を、気象庁からデータの提供などがなされる計画。気象庁ではスパコン更新の2018年度から新たなモデル中期開発計画を実施する方針で、特にスパコン更新後の5年間は重点的に作成する。
気象庁の橋田俊彦長官は「九州北部豪雨では5~6日の短時間で1000mmもの雨が降った。こういった線状降水帯の予測精度を上げたい」と述べた。さらに今後について「最先端技術に果敢に挑戦し、人材育成も進め予報モデル開発を進める」とした。
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月23日配信アーカイブ】
【4月23日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:南海トラフ地震臨時情報を想定した訓練手法
2024/04/23
-
-
-
2023年防災・BCP・リスクマネジメント事例集【永久保存版】
リスク対策.comは、PDF媒体「月刊BCPリーダーズ」2023年1月号~12月号に掲載した企業事例記事を抜粋し、テーマ別にまとめました。合計16社の取り組みを読むことができます。さまざまな業種・規模の企業事例は、防災・BCP、リスクマネジメントの実践イメージをつかむうえで有効。自社の学びや振り返り、改善にお役立てください。
2024/04/22
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月16日配信アーカイブ】
【4月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:熊本地震におけるBCP
2024/04/16
-
調達先の分散化で製造停止を回避
2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町。オフィス家具を製造するホリグチは真備町内でも高台に立地するため、工場と事務所は無事だった。しかし通信と物流がストップ。事業を続けるため工夫を重ねた。その後、被災経験から保険を見直し、調達先も分散化。おかげで2023年5月には調達先で事故が起き仕入れがストップするも、代替先からの仕入れで解決した。
2024/04/16
-
工場が吹き飛ぶ爆発被害からの再起動
2018年の西日本豪雨で隣接するアルミ工場が爆発し、施設の一部が吹き飛ぶなど壊滅的な被害を受けた川上鉄工所。新たな設備の調達に苦労するも、8カ月後に工場の再稼働を果たす。その後、BCPの策定に取り組んだ。事業継続で最大の障害は金属の加温設備。浸水したら工場はストップする。同社は対策に動き出している。
2024/04/15
-
動きやすい対策本部のディテールを随所に
1971年にから、、50年以上にわたり首都圏の流通を支えてきた東京流通センター。物流の要としての機能だけではなく、オフィスビルやイベントホールも備える。2017年、2023年には免震装置を導入した最新の物流ビルを竣工。同社は防災対策だけではなく、BCMにも力を入れている。
2024/04/12
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方