慶應義塾大学大学院経営管理研究科教授
大林厚臣氏 

コロナ禍を経て、企業のビジネス展開は新たな環境への適応を迫られている。「ニューノーマル」の時代を生き抜く各社にとって、これからの危機に対応しながら成長していくために備えるべき指針はあるのか。慶應義塾大学大学院経営管理研究科の大林厚臣教授に、ニューノーマル時代のビジネスチャンスとリスクを聞いた。(※本文の内容は5月18日取材時点の情報にもとづいています)

本記事はBCPリーダーズ6月号に掲載しています。BCPリーダーズ6月号の内容は下記をご覧ください。
https://www.risktaisaku.com/category/BCP-LReaders-vol3/

新たな社会ニーズ 新サービスを支えるICT

いま拡大している動きをビジネス視点で整理してみると、企業内のオペレーション(=働く人)と製品・サービスへのニーズ(=顧客)の両面で、メリットが共通する部分がとても多いことに気付きます。

たとえば3密の状態は、働く人も、顧客も、避けたいと思っています。結果、企業は対面型のビジネスをさまざまな方法で非対面に変え、さらに、地代が安いところ、あるいは広いスペースがとれるところに事業拠点を移し、働く人は家で仕事をする時間を長くして良い住環境に投じるお金を増やしていく。そうした社会ニーズを背景に、さまざまな動きが出てきているように思います。

その動きを支えているのが、ICTの積極的な活用です。対面コミュニケーションを補完するビデオ会議やテレワーク、データセンターなどの需要は今後も継続する見込みで、そこで必要となる投資がニュービジネスになります。自治体、保健所、学校、病院などの公的セクターは数が多く類似業務が多い割にICT化が遅れているので、ビジネスとしては有望。ノウハウを持てば全国展開も可能かもしれません。

eコマースによる買い物をはじめ、ICTによる食事や介護、健康、教育、育児などの支援も求められています。従来なら家庭の外に頼っていた部分を家庭内でやるために、それを支援するビジネスも出てくる。顧客がサービスを受けに行くのではなく、顧客の元にサービスが来るわけです。

ICTの弱点は人間が介在せざるを得ない対人サービスですが、自動化や無人化、ロボット化が解決策になります。とくに医療や介護のような人手不足の業界では、危険な作業や身体的負担の多い仕事を人型ロボットが行うようになっていくかもしれません。

医療については今回、人員不足がまざまざと浮き彫りになりました。医療資源を手厚くするには、何より政策が必要ですが、効率化の方向としては、ICTを活用した個人の健康データのモニタリングや、オンライン診療の普及が求められます。病人は動かさないのが本来の医療の姿ですから、そのほうが社会ニーズに合致しているといえるでしょう。

6月30日開催の危機管理カンファレンス2020春(オンラインセミナー)では、大林厚臣氏に「企業が今後考えるべきシナリオ 想定外の事態に強いBCPとは」と題して講演いただきます。詳しくは下記をご覧ください。
https://risk-conference.net/
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