2020/06/12
医師が語る感染症への知識のワクチン
2.予防

食中毒は細菌にとっての栄養(例えば食品の残り、汚れなども含まれます)、水分、温度という条件がそろうと増殖します。食品に菌がつかないように、食品についた細菌が増えないために、迅速に調理し食べること、あるいは冷凍することが重要です。
また食品を加熱することは必要ですが、毒素型の場合は食品の加熱だけでは防ぐことができない場合もあります。調理する人の手などから感染することがあるので、手洗いを十分に行うことも大切です。
厚生労働省から食中毒を防ぐ原則として、細菌を食べ物に「つけない」、食べ物に付着した細菌を「増やさない」、食べ物や調理器具に付着した細菌を「やっつける」という3つが提示されています。
また食品を購入してから食べるまでの過程では、次の6つのポイントがあるとされています。
1.買い物:消費期限の確認。生鮮食品や冷凍食品は買い物の最後に買うなど、帰宅までの時間を短くする、生の肉や魚の汁が他の食品につかないようにする。
2.家庭での食品の保存:冷蔵や冷凍が必要な食品はすぐに冷蔵庫(10℃以下)、冷凍庫(-15℃以下)に入れる。生の肉や魚はビニール袋や容器に入れ、他の食品に汁などがかからないようにする。肉、魚、タマゴなどを取り扱うときは前後で手洗いを行う。

3.食品の下準備:調理の前には石けんで手洗いをする。野菜は流水できれいに洗う。生の肉や魚の汁が、サラダで食べる生の野菜などの食べものにかからないようにする。生肉や魚、卵を触ったら手を洗う。包丁やまな板は肉、魚、野菜と分ければ安全である。冷凍食品は電子レンジで解凍し、自然解凍は避ける、また使用する分だけを解凍する。使用後のふきんやタオルは消毒し、乾燥をしっかりする。使用後の調理器具の熱湯などによる殺菌を行う。

4.調理の前:必ず手洗いをする。肉や魚は中心部を75℃ 1分間以上加熱するのが目安。
5.食事:食べる前に石けんで手洗いをする。清潔な食器を使用する。つくった料理は長時間室温に放置しない。
6.残った食品:残った食品を扱う前にも手洗いをする。清潔な容器に保存する。温め直す時も十分に加熱する。時間が経ちすぎた料理は思いきって捨てる。少しでもあやしいと思ったら食べずに捨てる。
3.感染した場合の対策・治療
食中毒の治療は、脱水を起こさないようにすることがまず重要です。通常は、下痢止めはすぐ使用しない方がよいとされていますが、ひっきりなしの下痢や血便があるときは医療機関の受診を勧めます。
嘔気・嘔吐がある場合は、下痢だけの場合より脱水を起こすことが多いので、特に高齢者や幼少児は早めに医療機関を受診した方がよいと思います。嘔気、嘔吐が治まれば水分補給を開始し、その後おかゆ、ゼリーなどの消化のよいものから食べるとよいでしょう。
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