2020/06/12
医師が語る感染症への知識のワクチン
具体的にいくつかの菌について述べます。
腸炎ビブリオ:魚介類を摂取しておこることが多く、夏に多く発生します。症状は激しいうえ腹部痛を伴うことが多く、下痢、発熱、嘔気・嘔吐が見られます。潜伏期間は8~24時間です。真水や酸に弱く、3%前後の食塩を含む食品の中で増殖しやすいと言われています。
サルモネラ菌:鶏卵や鶏肉、生のレバーを摂取して起こることが多く、症状は嘔気・嘔吐で始まることが多いとされています。潜伏期間は菌の種類(サルモネラは何種類か菌があります)によって異なりますが、6~48時間です。肉や卵を75℃以上で1分間以上加熱することにより感染を防げます。
病原性大腸菌:加工食品や水耕野菜の摂取で起こります。井戸水の中にも菌が生息することがあります。病原性大腸菌には何種類もありますが、その中の腸管出血性大腸菌はベロ毒素という毒素が大腸の血管壁を壊し、血便を生じることがあります。また溶血性尿毒症性症候群や脳症を発症することもあります。潜伏期間は1~数日です。加熱が不十分な食肉や内臓、汚染された生野菜、浅漬け、水などから感染するので、食品の保存、調理器具などの消毒、焼き肉の時の生肉用トングやはしにも気をつけ、体内に菌が入り込まないように注意する必要があります。
キャンピロバクター:家畜や家禽類の腸管内にいるために鶏肉や生肉の摂取で感染します。症状は、発熱、頭痛、下痢、腹痛などです。潜伏期間は1~7日。乾燥に弱く、十分な加熱調理で死滅します。
黄色ブドウ球菌:乳・乳製品(牛乳・クリームなど)や肉・ハムなどの畜産加工品、穀類とその加工品(握り飯、弁当)、魚肉練り製品や生和菓子の摂取で起こります。調理をした人の手指の化膿巣、糞便、鼻汁などで汚染された食品を摂取することで発症することもあります。症状は嘔気・嘔吐で始まることが多く、下痢や腹痛を伴うこともあります。潜伏期間は1~6時間(平均3時間)と早いことが特徴です。毒素型なので、毒素を不活化することが必要ですが、100℃30分間の加熱でも毒素が消失しないことが知られています。
ウェルシュ菌:酸素がないところを好み、熱に強い芽胞をつくります。摂取後小腸で毒素が産生されて下痢などの症状を起こします。肉類、魚肉、野菜の煮物など食べる日の前日など少し前に加熱調理し、そのまま室温で放置された食品から感染することがあります。症状は比較的軽いことが多いと言われています。潜伏期間は6~18時間です。
ボツリヌス菌:悪心、嘔吐のほかにめまいや頭痛、その他の神経症状の見られることがよくあります。時に重篤な状態になることがあります。潜伏期間は18時間前後です。肉類、魚肉のほか、酸素のない状態になっているびん詰めや缶詰、レトルト食品などの保存食品が原因になることがあると言われています。
診断
通常は便培養により菌の分離、同定を行います。出血性大腸菌の場合は分離された菌の生化学的同定、血清型の検査、ベロ毒素試験などを行い診断します。
医師が語る感染症への知識のワクチンの他の記事
- 【最終回】食中毒への備え
- マイコプラズマ感染症への備え
- 溶連菌感染症への備え
- ノロウイルス感染症への備え
- インフル、予防の基本は手洗いとうがい
おすすめ記事
-
企業の副業解禁とコンプライアンス対策を支援
企業の副業解禁の流れが加速している。従業員は本業以外の労働を増やすことで、収入増が見込める。従業員が副業で獲得したスキルで、本業への貢献も期待できる。企業側にとっても、副業は採用活動に活用できる。業務発注から関係を深めてからの転職や採用後のミスマッチを防止する効果がある。一方で、副業の一般化に伴い、同業他社での競業や情報漏えい、ブランド毀損、過重労働など、副業リスクは増加している。フクスケ(東京都千代田区)は、企業の副業制度の運用支援に加え、副業コンプライアンス向上に関するデータを分析し、リスク診断サービスも提供している。代表取締役社長の小林大介さんに、企業の副業解禁がもたらす影響について話を聞いた。
2026/06/12
-
-
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/06/09
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2026/06/05
-
-
-
失われた危機意識を取り戻す災害図上訓練で自分ごと化 ミツバ
どのメーカー系列にも属さず、複数の自動車メーカーや1次サプライヤーに四輪と二輪用の電装部品を供給する独立系のサプライヤーであるミツバ(群馬県桐生市、日野貞実代表取締役社長)。近年、過去に考えられた災害対策が、途絶えつつあった。同社では“自分ごと化”で従業員の危機意識を高めるため、災害図上訓練を実施。参加者の意欲が高まり、対策用の新たな要望が集まるなど、確実な手応えを感じている。
2026/05/26







※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方