写真(FashionStock.com / Shutterstock.com)

赤十字で学んだもうひとつのことは、他の地方自治体は、われわれがニューヨーク市OEMで取り組んだ集団ケアの実施能力を構築するようなことはせずに、この責任を捨て去り赤十字に投げてしまっていることである。

一見すると、理にかなっている。なんといっても、米国赤十字は、国中で災害による人たちの苦しみを和らげる使命を負った世界でトップクラスの人道的な組織である。例えば、災害地域において、緊急避難保護、食事供与、救援物資の配給など大規模な現場活動を行っている。正しい使命感と数千人の献身的なボランティアと職員をもった重要な国の資産である。

2017年秋、ハリケーン・ハーヴィー、マリア、イルマとカリフォルニア山火事の後にこの文章を書いているが、米国赤十字は8つの州とプエルトリコ、米領バージン諸島で広範な救済活動を行っている。カリフォルニアの現場に現在1200人の赤十字の災害現場担当者がおり、米国赤十字はこの8週間に緊急シェルターで130万泊以上を提供した。

しかし、その偉大な仕事にもかかわらず、パラレル宇宙でのみ学ぶことができる教訓を赤十字は学ぼうとしていない。その教訓の一つが、成功か失敗かを決めるのは災害直後の数時間内に何をして何をしないかであることを。

例えば、ハリケーン・カトリーナの対応が失敗であったとほとんどの人が評価していることに赤十字は困惑している。ボランティアたちがその災害対応において、数千人の人たちを巻き込んだ現場対応活動を実施して非常に頑張ったと、赤十字は反論する。これは全て本当であるが、これらを、求めに応じて十分に迅速にできなかったのである。その前のアンドリューや後のサンディの時にように、赤十字は仕事に数日の遅れが出たが、決して取り戻せなかったのである。