今回は、簡単にできる風水害の防災訓練をご紹介させていただきます。

「夕方からの突然の大雨で、会社の所在地に特別警報が発令されました。雨は夜中まで降り続く見通しです。あなたはどのような行動をとりますか」
(防災+手帳2021「新しいカタチの防災訓練 災害イマジネーションゲーム」より)

このような質問を従業員にしてみてください。

「急いで家に帰る」「会社にとどまる」「家に電話をして家族の状況を聞いてから行動を決める」「特別警報って何?」など、さまざまな回答が予想されます。

正解はありません。この訓練のポイントは、さまざまな状況を皆で事前に考え、どのような事態が予想されるのか、それぞれの考えを共有し、どうすればその事態を少しでも防ぐことができるのかを皆で考え、実際に災害に遭遇してしまった時にどう対応すればいいかを話し合う点にあります。

一通りの答えを聞いたら、一人ずつに、どのような事態を「予想」したかを聞いてみましょう。
・会社の近くが浸水して孤立してしまうと考えた人もいるかもしれません。
・無理に家に帰ったら交通機関がとまって身動きがとれなくなると考えた人もいるかもしれません。
・家族が被災するかもしれないと考えた人もいるかもしれません。
・普段から出張しているので、そうした情報が入ってこないと考えた人もいるかもしれません。

職場環境、家庭環境、通勤経路など、人それぞれによって予測する状況は異なります。
まずそのことを肝に銘じ、人によって、いろいろなリスクがあることを学びます。

次に、どうすればそのような事態を防ぐ、あるいは軽減することができるかを話し合ってみましょう。特別警報が出る前に、気象情報を見て早めに帰るというのも手ですが、もっといろいろな方法も考えられるはずです。常に情報を入手できるようにしておくとか、危険な場所がどこかを把握しておくというのも予防策の1つです。具体的にどのようなアプリやWEBサイトが使いやすいかを聞いてみるのもいいでしょう。ハード面でも、停電に備えLEDライトを持っておく、携帯ラジオや、ラジオアプリを入れておく方法も有効でしょう。1人で考えつかないことも数人で話し合えば、いろいろな対策が思いつくことでしょう。

最後に、それでも被災してしまったらどう対応するかを考えます。

危機対応には、命を守り、被害拡大を防ぎ、その後に生活・財産を守ることを考えるという優先順位がありますが、それでも、さまざまな意見が出るはずです。「高くて安全な場所に移動する」「スマフォやラジオで情報を収集する」「家族に連絡をする」……。それぞれの答えが、本当に実際できるのか(例えばラジオは持ち歩いて常に使える状態になっているか)も検証してみましょう。

自然災害への備え方の原則は、あらかじめ、危険な状況が起き得ることを「予測」し、できる限りそうした状況に遭遇しないよう、あるいは遭遇しても命を守れるよう「予防」をしておくことです。しかしながら、異常気象が増え続けている昨今、正確に何が起きるか予測し、完全に危険を予防することは不可能です。したがって、予測や予防を上回るような状況に陥ったとしても、適切な「対応」がとれるようにすることを文化にしていかなくてはいけません。

「防災+手帳2021」は、この予測・予防・対応の3つの原則に照らし合わせながら、さまざまな災害への備え方、対応の仕方を解説していきます。東日本大震災以降、毎年発行を続けてきましたが、2020年版までの内容を刷新し、「今年覚えておくべき防災知識」「被害後のくらし」「さまざまな自然災害に対する共通の備え方をテーマごとにわかりやすく整理しました。

関西大学社会安全研究センター長の河田惠昭先生に監修をいただき、巻頭には特別インタビューを掲載しております。

BCPで最も重要なことは、従業員一人一人の防災意識を高めることです。
表紙には御社の組織名やロゴを入れることも可能ですので、従業員教育や顧客へのノベルティーとしてご活用いただけます。

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