第115回:欧州のリスクマネジャーの問題意識とこれからの役割
FERMA / European Risk Manager Report 2020
合同会社 Office SRC/
代表
田代 邦幸
田代 邦幸
自動車メーカー、半導体製造装置メーカー勤務を経て、2005年より(株)インターリスク総研、(株)サイエンスクラフト、ミネルヴァベリタス(株)にて事業継続マネジメント(BCM)や災害対策などに関するコンサルティングに従事した後、独立して2020年に合同会社Office SRCを設立。引き続き同分野のコンサルティングに従事する傍ら、The Business Continuity Institute(BCI)日本支部事務局としての活動などを通して、BCMの普及啓発にも積極的に取り組んでいる。国際危機管理学会(TIEMS)日本支部理事。一般社団法人レジリエンス協会幹事(組織レジリエンス研究会座長)。環境経営学会幹事(企業の気候変動に対する「適応」研究委員会メンバー)。政府会計学会会員(社会リスク研究部会メンバー)。
田代 邦幸 の記事をもっとみる >
X閉じる
この機能はリスク対策.PRO限定です。
- クリップ記事やフォロー連載は、マイページでチェック!
- あなただけのマイページが作れます。
欧州リスクマネジメント協議会(Federation of European Risk Management Associations:略称 FERMA)(注1)はPwCの協力のもと、2020年6月29日に「European Risk Manager Report 2020」を発表した。これはFERMAの会員となっている組織などを通して実施したアンケート調査の結果をまとめたものである。この調査は2002年から隔年で行われており、今回が10回目となる。
調査はウェブ経由で匿名で行われ、34カ国における764人のリスクマネジャー(注2)から回答を得ている。回答者の内訳を見ると、西ヨーロッパからの回答が76%、しかもフランスからの回答だけで21%を占めており、かなり地理的に偏っているため、このような偏りがあることを踏まえて調査結果を読む必要がある。ちなみに英国(アイルランドを含む)からの回答は4%しかなく、本連載でこれまで紹介してきた調査報告書において、英国や米国に偏っているものが比較的多かったのとは対照的である。
また、調査は今年の1月から3月にかけて行われたため、新型コロナウイルスのパンデミックによる影響があまり反映されていないことにも注意が必要である。この点については本報告書の序文でも、「もし今日この調査を行ったら、その結果は異なる優先順位を示しただろう」と述べられている(注3)。