第2回 「エージェント型AI」とは?そして、安全に利用するために
自動化時代の備え方
鈴木 英夫
慶應義塾大学経済学部卒業。民族系石油会社で、法務部門・ロンドン支店長代行・本社財務課長など(東京・ロンドン)。外資系製薬会社で広報室長・内部監査室長などを務め、危機管理広報・リスクマネジメントを担当(大阪)。現在は、GRC研究所代表・研究主幹、リスクマネジメント&コンプライアンス・コンサルタント(兵庫)。日本経営管理学会会員、危機管理システム研究学会会員。
2025/07/18
新 世界のリスクマネジメントの潮流
鈴木 英夫
慶應義塾大学経済学部卒業。民族系石油会社で、法務部門・ロンドン支店長代行・本社財務課長など(東京・ロンドン)。外資系製薬会社で広報室長・内部監査室長などを務め、危機管理広報・リスクマネジメントを担当(大阪)。現在は、GRC研究所代表・研究主幹、リスクマネジメント&コンプライアンス・コンサルタント(兵庫)。日本経営管理学会会員、危機管理システム研究学会会員。
技術的には新しいものではないが、エージェント型AI(agentic AI)は現在、人工知能(AI)分野において最も注目を集めている展開の一つであり、(アメリカに本拠を置く、IT分野を中心とした調査・助言を行う企業である)ガートナー社は最近、2025年の主要なテクノロジートレンドの一つにこれを挙げた。単に指示に応じてアウトプットを生成する生成AIとは異なり、エージェント型AIはユーザーに代わり複数のステップからなるリクエストに対応できる。エージェント型AIは、タスクを自律的に実行し、「思考」に基づく意思決定を行い、サードパーティ製アプリケーションと連携してタスクの完了を促進する。
これらのエージェントツールは、生成ツールと同様にセキュリティ上の課題を多く抱えているが、自律的に動作する能力ゆえに、主に倫理と利用範囲に関して、ガバナンス上の課題と固有のセキュリティリスクがさらに生じる。
エージェント型AIの応用は、医療・金融・法務・小売・サプライチェーンなど、幅広い業界に広がることが期待されている。例えば、エージェント型AIは、広報・宣伝、発注書の作成、サプライヤーの価格比較など、通常は人間が担当する従来のプロセスを変革しつつある。これらのプログラムは、出荷ルートの自動変更、調達戦略の調整、コンプライアンスの即時確保など、地政学的リスクや物流上のボトルネックといった課題にも対処できる。
多くの組織は既にエージェント型AIを導入し、活用している。(ロボティック・プロセス・オートメーションを提供する)Blue Prism社の「グローバルエンタープライズAI調査2025」によると、調査対象となった1,650社のうち29%が既にエージェント型AIを活用しており、44%が今後1年以内に導入を計画している。Put It Forward社のリーダーシップ・サクセスマネージャーであるエルサ・ペッターソン氏の記事によると、「2028年までに、エンタープライズ・ソフトウェアの33%がエージェント型AIを組み込み、企業の運営と意思決定の方法を変革すると予測される」とのこと。さらに、NVIDIAのジェンスン・フアン氏は、各部門で1億個のAIエージェントを5万人が監視する体制にまでAIの利用が拡大すると予測している。
エージェント型AIを利用する際、企業は関連するセキュリティ上の課題を考慮し、権限の最小化、人間による監視、行動テストなど、適切なガードレールを実装することで、AIエージェントのタスク実行が企業倫理および法的ガイドラインに準拠していることを確認する必要がある。セキュリティとコンプライアンスは、現在、AIサービスの導入における主要な課題なのである。したがって、エージェント型AIの活用を計画している企業は、説明責任・データ品質・データ出力の信頼性といったAIガバナンスの一般原則を念頭に置くことが重要だ。
この技術はまだ進化途上にあり、脆弱性を全て特定することはできないが、以下のベストプラクティスは、組織内でエージェント型AIを安全に導入するのに有用である。
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