2020/09/08
日本企業が失敗する新チャイナ・リスク
■事業運営リスク
米中摩擦の状況下でも引き続き「中国での事業展開は今後も変更なし」と決断した場合、次はどう事業を運営していくかという課題を抱えることになります。

コロナ禍により相互の交流が制限を受ける中では、これまでと同じような運営手法をとることは難しくなるでしょう。少なくとも来年1年間は大きな影響を受けることは間違いありません。日本からの駐在員の派遣にも影響が及んでおり、現時点でもいまだ多くの駐在員が中国に戻れなかったり、日本に戻ることもできなかったりという状況に置かれております。
ならば、どのように運営上のリスク管理を行うのでしょうか?
当然、現地スタッフに期待し頼ることになるでしょうし、それでも不安が残るのであれば現地のビジネスコンサルに委託し代理運営をお願いするなどの手法も考える必要がありそうです。今後は、リモートでの管理も考えられますが、言葉の壁や文化習慣の壁などにより、事はさほど容易ではありません。
何よりも製造を主とする業態の場合には、何らかの問題発生時には「百聞は一見に如かず」という言葉が身に染みるほどに、言葉だけでは現場の実態さえも見えず解決に戸惑ってしまうことが多いのです。このリスクにどう対応していくかこそ、企業の実力が問われることになることでしょう。
■事故・災害リスク(事業継続リスク)
今年は、異常気象ともいえる大雨により日本でも中国でも大きな水害が起きております。
多くの人的犠牲も発生し、住まいを失い途方に暮れる人々が大勢報告されています。事業を継続するという観点では、自然災害を予測しておくことは必然であり、「起きる」ことを前提として準備を怠ってはいられません。
特に、今年多くの被害を受けた長江周辺の工業都市群には、日系企業も多く進出しており、直接・間接的な被害を被っていることも現実問題として存在します。

ここ数年の気象現象を見る限り、将来においても同様のリスクは存在すると思われます。中国国内での原料や材料の調達、現地スタッフの安全と雇用確保などを災害の発生を前提としてシミュレーションしておくことは「安全第一」を第一是とする製造業においては最優先のリスク管理事項として考えておくべきでしょう。
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