2017/10/26
防災・危機管理ニュース

ヤマハなど167の企業・団体は25日、「SoundUD推進コンソーシアム」を設立。東京・墨田区の両国国技館で決起大会を開催した。訪日外国人や障害者に向けてアプリやデジタルサイネージなどに対応した技術を用いて、避難誘導や案内のアナウンスをわかりやすく伝えることを目指す。また同日、国技館において消防庁と共催で地震と火災を想定した避難訓練を行った。
コンソーシアム主催社はヤマハで、ヤフーなどIT企業や日本航空、全日空、東京メトロといった交通、イオンモールなど商業施設や地方自治体として京都府と京都市など、幅広い企業・団体が参加している。
ヤマハではアナウンスの音声と「トリガー」と呼ばれる音声をミックスして放送し、アナウンスを多言語に翻訳した文字情報をアプリやデジタルサイネージに表示できる技術を持っている。ヤマハはこういった音声のバリアフリー化に関する技術をオープン化し、他社と協業するためコンソーシアムを結成。トリガーはデジタルクーポンなどにも応用可能で、会員社にとっても利用できることはメリットが大きいという。同コンソーシアムでは部会を設置し技術やサービスの開発を推進。2018年4月から順次サービスを開始する方針。

決起大会の後に行われた訓練では外国人50人、聴覚など障害者10人含め約100人が参加。地震とその後に火事が発生したという設定で避難した。訓練では地震発生を説明するアナウンスが日本語と英語で流れたほか、デジタルサイネージにも文字情報が表示。また誘導員は翻訳拡声器を持ち、「かがんで頭を守ってください」と日本語で叫ぶとその拡声器から英語・中国語・韓国語でも同様の内容が流れた。聴覚障害者とはスマートフォンでコミュニケーション。アプリにより誘導員が指示内容を話すと文字に起こされ、聴覚障害者からの質問は指で画面に文字を書くことで誘導員に伝えられた。
国技館は2020年東京オリンピック・パラリンピックにおいてオリンピックのボクシング会場となる。消防庁では大会に向け増加が見込まれる訪日外国人や障害者向けの災害時アナウンスを充実させるためにガイドラインを策定する方針。今回の訓練経験や参加者の声を反映させる。
■関連記事「五輪会場などで外国人や障害者避難訓練」
http://www.risktaisaku.com/articles/-/3908
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
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