文科省では年内に現・総合基本施策下のレビューの報告書のたたき台を示す

文部科学省が中心となっている政府の地震調査研究推進本部は30日、「新総合基本施策レビューに関する小委員会」の第6回会合を開催。現行の地震調査研究の原則となっている「新総合基本施策」における基盤観測網の維持・管理や人材育成・確保、研究成果の国民向けや国際的な発信について話し合われた。現・総合基本施策下での実績や課題についての報告書のたたき台は年内に提示される予定。

現・総合基本施策である「新総合基本施策」は2009年に策定。2011年の東日本大震災を経て、2012年に改訂された。2012年の改訂では主に海域での津波観測に注力する旨が付加された。次期総合基本施策は2018年度に取りまとめ、2019年度から適用する。このため現・総合基本施策で取り組むべきとされた各分野について、実績の精査や今後の課題発見を行っている。

30日は論点として1.基盤観測等の維持・管理2.人材の育成・確保3.国民への研究成果の普及発信4.国際的な発信力の強化―が挙げられた。

観測については観測網を陸域で維持していく一方で、南海トラフ西部など今後は海域で拡大していく必要がある。また大学所有の地震観測網は予算削減の影響で運用が厳しいところもある。観測網の維持を行いつつ拡大を進めるにはコスト削減につながる技術開発などが課題だとした。

人材育成・確保では地震本部でできる取り組み、地震研究のコミュニティが一体となった学生教育が課題として挙げられた。火山研究での取り組みとしては大学や国立研究開発法人といった教育・研究機関のほか行政や民間企業とも連携した火山研究人材育成コンソーシアムがあり、参考として紹介された。

国民への研究成果の普及発信では、地震調査研究の成果を国民の防災行動に結びつけるため取り組みはどのようなものか、さらには取り組みを検討するためのスキームも必要ではないかという提案がなされた。国際的な発信では日本の研究成果の発信は海外で注目を浴びていると評価する一方で、情報発信にとどまらず、観測網の海外輸出といった成果を直接海外に輸出するなどほかの貢献のあり方も検討すべきとしている。

小委員会では12月にもレビュー報告書のたたき台を示す方針。現・総合基本施策下での実績や課題を次期施策策定に生かしていく。

(了)

リスク対策.com:斯波 祐介