2017/11/09
防災・危機管理ニュース

インターネットや人工知能(AI)の防災・減災への活用を目指す「電脳防災コンソーシアム」の第1回会合が8日、東京・千代田区の国立情報学研究所で開催。情報共有の深化などを進め、災害対策基本法改正も目指す。2018年4月をめどに政策提言の中間とりまとめを行う計画としている。
共同代表に慶応義塾大学環境情報学部の山口真吾准教授のほか、防災科学技術研究所の臼田裕一郎・総合防災センター長、LINEの江口清貴・公共政策室長、ヤフーの竹内美尋・メディアカンパニーライフライン事業本部災害サービスマネージャー、情報通信研究機構の鳥澤健太郎・データ駆動知能システム研究センター長が就任。NTTドコモやソフトバンク、グーグルなど通信・IT大手のほかNHK、フジテレビ、スカパーJSATといった放送局、東京都や豊島区といった地方自治体などの関係者が委員となっている。
慶大の山口氏は「これまでの災害情報は行政からの縦割りで、音声によるものが中心だった」と説明。今後は横の連携を進め、最新の情報システムを活用し、被災者や避難所の支援を進める。AIによる緊急通報の緊急度に応じた仕分け、情報活用を盛り込んだ災害対策基本法の改正などを目指す。
参加者から事例の報告も行われた。ヤフーの竹内氏はスマートフォンアプリの「Yahoo!防災速報」や、異業種と提携し災害時にワンストップで支援物資などを提供する緊急災害対応アライアンス「SEMA(シーマ)」などの紹介を行った。LINEの江口氏は同社のアプリが2011年の東日本大震災をきっかけに生まれたことや、2016年の熊本地震の際に熊本市が自発的にLINEグループを作って職員間での連絡に利用したことを報告した。弁護士の岡本正氏は東日本大震災後に災害相談のデータベース化が行われていることを紹介。同震災だけで約4万件の分析結果がある。事例が集まると新たな災害が起こった際に、どういった相談が多くなるかが想像できるなどの利点を述べた。
■関連記事
「ネットやAIの防災活用へコンソーシアム」
http://www.risktaisaku.com/articles/-/4066
「ヤフーなど17社、災害救援アライアンス」
http://www.risktaisaku.com/articles/-/3607
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2023/01/31
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年1月31日配信アーカイブ】
【1月31日配信で取り上げた話題】家庭での防災行動を高めるために
2023/01/31
-
-
1000人に聞いた防災の取り組みと行政への期待
リスク対策.comは、地域住民がどの程度防災に取り組んでいるのか、また防災の観点から行政に対してどのような要望を持っているのかなどを把握する目的でインターネットによるアンケート調査を実施した。その結果、2021年5月から避難勧告が廃止され避難指示に一本化されたことについては約5割しか理解していないことや、平時から国や地方自治体の防災のホームページなどがあまり活用されていない実態が明らかになった。調査は、2022年11月21日から22日にかけてインターネット上で行い、全国の20歳以上の成人男女1000人からの回答を得た。質問は、回答の質を高めるため「この質問は一番右の回答をお選びください」という条件項目を入れ、適切な回答をしなかったものを除き、計889人を有効回答として分析した。
2023/01/30
-
社内滞在時をイメージさせる実践的な訓練と備蓄
テクニカルセラミックスを開発・生産するクアーズテックは2012年、東京都の帰宅困難者対策条例を機に一斉帰宅抑制対策に乗り出しました。独自のプログラムを追加した実効性の高い訓練や被災時の心理にも配慮したきめ細かな備蓄が評価され、2021年には東京都のモデル企業に。同社の取り組みを紹介します。
2023/01/29
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年1月24日配信アーカイブ】
【1月24日配信で取り上げた話題】最強寒波への備え
2023/01/24
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2023年1月17日配信アーカイブ】
【1月17日配信で取り上げた話題】防災心理を学ぶゼミ生が制作した企業の防災マニュアル/コロナ発生から3年 企業の初動対応を振り返る
2023/01/24
-
BCPと助け合える関係が機能した災害復旧活動
2019年の台風19号でグループ含め3工場が壊滅的被害を受けたカイシン工業は、経営トップが「全力復旧」の方針を発表すると各工場が即座に活動を開始。取引先や協力会社の支援を受けて設備の交換を迷いなく進めるとともに、代替生産によって早期に出荷を再開しました。同社のBCPと助け合える関係づくりを紹介します。
2023/01/19
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方