BCPは経営戦略 
東日本大震災直後から同社BCM委員会の事務局を担当している総務部次長の喜田哲也氏は「BCPは防火・防災対策ではなく、あくまで経営戦略。経営環境変化に応じた発展的改善というポジショニングで取り組んでいる」と説明する。 

同社のBCPの骨子は「社員、家族、顧客、利用者の安全確保を第一に、重要業務を継続して損失を最小限に抑え、社会的な責任を果たす」こと。そのために、「生命の安全確保」「企業資産の保全」「製品在庫の積み増しと原材料の確保」「物流手段の確保」という4つの切り口から、BCPの見直しに着手している。

生命の安全確保 

生命の安全確保は、避難場所や備蓄を確保するとともに、全社員の意識改革を促す両輪で進めている。避難場所は、鳴門工場では耐震補強された高さ10m以上の施設を11カ所設置。外部階段も備え付けた。地域住民も受け入れる予定で、避難想定者数の3日分の水と食料などの備蓄を準備している。

避難場所には1500㎡のスペースがあり、計算上は1500人の受け入れが可能という。避難経路と避難場所には、停電時に自動的に20時間点灯するLED防災ライトも設置した。意識改革では、定期的に避難訓練や安否確認訓練を実施しており、直近の鳴門工場総合防災訓練では、関連会社の従業員を含め、工場で働く800人のスタッフのうち約600人が参加した。 

「以前は、社員の認識にバラツキがあったが、3.11から一気に意識が変わった。南海トラフ地震が来たら大変なことになるという危機意識と、経営者のトップダウンにより本気度が全社員に浸透してきている」と喜田氏は語る。訓練には、産業医も参加し、負傷者を容態に合わせ緑、赤、黄、黒のエリアに移すトリアージ訓練も実施。安否確認も形式的に行うのではなく、津波を想定し、地震直後と、津波からの避難後の2本立てで行うなど、リアリティーを追求している。