2014/07/25
誌面情報 vol44
地域を守るために企業は何をすべきか?
企業の事業継続計画の取り組みに併せて、地域全体をいかに早期に復旧させるのか地域貢献の議論が各地で始まっている。
徳島県鳴門市に本社を持つ大塚製薬工場は、自社のBCPの見直しに加えて、大規模災害時の地域貢献のあり方として、近隣住民の工場への受入れ準備などを進めている。地元に住んでいる従業員も多く、地域の継続なくして会社の存続はあり得ないからだ。香川県では、香川大学が中心となり、四国全体の地域継続計画(District Continuity Plan)の策定を進めている。個々の企業のBCPに、ビジネスの視点だけでなく地域継続という上位概念を植え込み、優先業務などの全体最適化を図っている。
自動車の部品の関連会社が集積する愛知県豊橋市の三河港では、津波のリスクにさらされる工業団地内の企業が結束して地域全体を守る取り組みに乗り出した。行政支援に頼るだけでなく、資源を持ち寄って巨大災害に備えるためだ。
日本の経済活動の中枢機能が集中する東京駅周辺でも、大手町、丸の内、有楽町地区にある企業が結束して、首都直下地震に備える。帰宅困難者の受入れや避難誘導など訓練を繰り返し、防災機能を強化している。
「地域貢献」という偽善活動をしているわけではない。災害時に、本来やるべきこと、できることをしなかったという悪評が起きれば、自分たちの利益を損なうことになり得る。
地域共生は、自社の利益を確保するための活動でもある。
地元住民1500人を受入れ
BCP+地域貢献の新たな道
株式会社大塚製薬工場
BCPの全体最適化
四国版「くしの歯作戦」に向け産官学連携
香川地域継続検討協議会
堤外地をBCP連携で守る
企業連携で地区を強靭化
愛知県三河港明海地区
誌面情報 vol44の他の記事
おすすめ記事
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/09/02
-
-
-
ゲリラ雷雨の捕捉率9割 民間気象会社の実力
突発的・局地的な大雨、いわゆる「ゲリラ雷雨」は今シーズン、全国で約7万8000 回発生、8月中旬がピーク。民間気象会社のウェザーニューズが7月に発表した中期予想です。同社予報センターは今年も、専任チームを編成してゲリラ雷雨をリアルタイムに観測中。予測精度はいまどこまで来ているのかを聞きました。
2025/08/24
-
スギヨ、顧客の信頼を重視し代替生産せず
2024年1月に発生した能登半島地震により、大きな被害を受けた水産練製品メーカーの株式会社スギヨ(本社:石川県七尾市)。その再建を支えたのは、同社の商品を心から愛する消費者の存在だった。全国に複数の工場があり、多くの商品について代替生産に踏み切る一方、主力商品の1つ「ビタミンちくわ」に関しては「能登で生産している」という顧客の期待を重視し、あえて現地工場の再開を待つという異例の判断を下した。結果として、消費者からの強い支持を受け、ビタミンちくわは過去最高近い売り上げを記録している。一方、BCPでは大規模な地震などが想定されていないなどの課題も明らかになった。同社では今、BCPの立て直しを進めている。
2025/08/24
-
-
-
-
ゲリラ豪雨を30分前に捕捉 万博会場で実証実験
「ゲリラ豪雨」は不確実性の高い気象現象の代表格。これを正確に捕捉しようという試みが現在、大阪・関西万博の会場で行われています。情報通信研究機構(NICT)、理化学研究所、大阪大学、防災科学技術研究所、Preferred Networks、エムティーアイの6者連携による実証実験。予測システムの仕組みと開発の経緯、実証実験の概要を聞きました。
2025/08/20
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方