マネジメントを支えるBCM委員会 
こうした計画の確実な達成を支えてきたのが、役員・部門長が参加するBCM委員会だ。3~4カ月に1回、定期的に開催しており、各部門のBCPの進捗状況や今後の投資計画、関連企業や行政の状況などが発表される。鳴門、釧路、富山、東京とテレビ会議で結ばれており、ここでの議論は取締役会で検討され、進捗状況は繰り返し報告が継続されるという。

地域貢献の新たな道 
同社が現在、特に力を入れているのが地域との共生だ。自分の会社だけが生き残れば良いというような考え方はしていない。地元に住んでいる従業員も多く、地域が復興しなくては会社の存続はあり得ないからだ。 

2012年10月には、鳴門市と防災協定を締結。津波などの被災時には、地域住民を一時的に受け入れるほか、水・食料、マンパワーなどを可能な範囲で提供するという内容。2013年7月には、松茂町とも防災協定を締結した。 他方、この協定が確実に実行できるようにするためには“住民がどの程度の支援を求めているのか要請のグレードがまだ不透明”との課題がある。大塚製薬工場は、現在9台の車を緊急車両登録し、災害協定に基づき、物資などを地元に搬送することを計画しているが、ドライバーに加え何人のスタッフが必要なのか、発災時からどのタイミングで何をするのか、明確にしていく必要があるという。 

今後、BCPの中で、優先業務の1つに地域貢献の項目を加えるべきかも検討するが、常に必要に応じてブラッシュアップしていく姿勢を貫いている。その上で日常的な防災訓練のあり方や、一時避難所の運用などを行政、地元自治体と共にすり合わせていくとしている。 

鳴門工場では、防災設備が整った昨年、地元自治会、消防署、警察、市の危機管理局、教育委員会などの担当者に集まってもらい、実際に避難所まで登ってもらう取り組みを行った。 

政府は今年4月、地域コミュニティーの防災活動を推進する「地区防災計画制度」をスタートさせた。一定の地区内の住民や事業者が自発的に防災計画を策定し、市町村が定める地域防災計画に規定することができるようになったが、喜田氏は「鳴門工場周辺自治会の防災意識は非常に高く、自治体も海岸沿いに十分な避難施設を建設することには限界があるため、民間企業が加わった地区防災に当社は自助として行動していきたい」と今後の展開に期待している。

(了)