2016/11/22
誌面情報 vol44
徳島県の北東に位置し、鳴門海峡の渦潮で知られる鳴門市は、県内でも南海トラフ地震による甚大な被害が懸念される地域だ。ここを本拠地とする大塚製薬工場は、医療機関で使われる輸液の国内シェア50%以上を誇る。同社は現在、南海トラフ地震による揺れや津波から社員と事業を守るべく、BCPの見直しを進めるとともに、災害時における地元住民の自社施設への受け入れなど、新たな地域貢献のあり方を模索している。
編集部注:この記事は「リスク対策.com」本誌2014年7月25日号(Vol.44)掲載の連載を、Web記事として再掲したものです。(2016年11月22日)
大塚製薬グループの中では最も早く、2007年からBCPの取り組みを始めた大塚製薬工場。グループ発祥の地でもある鳴門市と隣接する松茂町には、本社と主力工場である鳴門、松茂両工場があり、釧路工場(北海道)、富山工場(富山県)の4工場合わせて、毎日150種類の製品を1日100万本製造している。
従業員数は2400人弱で、売り上げは1060億円。主力製品は点滴などに使われる輸液で、国内市場の実に53%強のシェアを誇る(2013年12月時点)。災害発生時には負傷者の増加に伴い、輸液のニーズは急激に高まることが予測されるため、輸液の安定供給を達成するというのが同社のBCPの要だ。
しかし、輸液の生産量が多い鳴門工場と松茂工場は、それぞれ海岸に近く南海トラフ地震による津波の被害が懸念されている。このため同社は、生産工場建屋ごとに防潮堤(防潮板)を設置。工場全体を2mの防潮堤で取り囲むほか、電気設備等は多重防御するなど徹底した対策に乗り出している。
誌面情報 vol44の他の記事
- BCP+地域貢献の新たな道 地元住民1500人を受入れ
- 特集1 BCPと地域貢献
- BCPの全体最適化 香川地域継続検討協議会
- 堤外地をBCP連携で守る 愛知県三河港明海地区
- 60万人の帰宅困難者対策 東京駅周辺防災隣組
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月23日配信アーカイブ】
【4月23日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:南海トラフ地震臨時情報を想定した訓練手法
2024/04/23
-
-
-
2023年防災・BCP・リスクマネジメント事例集【永久保存版】
リスク対策.comは、PDF媒体「月刊BCPリーダーズ」2023年1月号~12月号に掲載した企業事例記事を抜粋し、テーマ別にまとめました。合計16社の取り組みを読むことができます。さまざまな業種・規模の企業事例は、防災・BCP、リスクマネジメントの実践イメージをつかむうえで有効。自社の学びや振り返り、改善にお役立てください。
2024/04/22
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!【2024年4月16日配信アーカイブ】
【4月16日配信で取り上げた話題】今週の注目ニュースざっとタイトル振り返り/特集:熊本地震におけるBCP
2024/04/16
-
調達先の分散化で製造停止を回避
2018年の西日本豪雨で甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町。オフィス家具を製造するホリグチは真備町内でも高台に立地するため、工場と事務所は無事だった。しかし通信と物流がストップ。事業を続けるため工夫を重ねた。その後、被災経験から保険を見直し、調達先も分散化。おかげで2023年5月には調達先で事故が起き仕入れがストップするも、代替先からの仕入れで解決した。
2024/04/16
-
工場が吹き飛ぶ爆発被害からの再起動
2018年の西日本豪雨で隣接するアルミ工場が爆発し、施設の一部が吹き飛ぶなど壊滅的な被害を受けた川上鉄工所。新たな設備の調達に苦労するも、8カ月後に工場の再稼働を果たす。その後、BCPの策定に取り組んだ。事業継続で最大の障害は金属の加温設備。浸水したら工場はストップする。同社は対策に動き出している。
2024/04/15
-
動きやすい対策本部のディテールを随所に
1971年にから、、50年以上にわたり首都圏の流通を支えてきた東京流通センター。物流の要としての機能だけではなく、オフィスビルやイベントホールも備える。2017年、2023年には免震装置を導入した最新の物流ビルを竣工。同社は防災対策だけではなく、BCMにも力を入れている。
2024/04/12
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方