2017/12/08
防災・危機管理ニュース
ミューチュアル・エイド・セオリーは7日、「Guardian(ガーディアン)72」と題した、災害時に役立つ備蓄品を詰め合わせたボックスの配送事業について東京・千代田区の三井生命ホールで地方自治体や企業向けに説明会を開催した。自治体向けには企業や個人から寄せられたふるさと納税を活用した購入を呼びかけた。
ボックスには食料品や水、衣類、衛生用品など生活に役立つものを概ね1人向けに3日分詰め合わせる。通常時は備蓄倉庫に保管され、災害発生時に、既に1箱に1人分が詰められている状態で避難所に届けられる。価格は1箱あたり2万円。企業などからの寄付や、CSR対策費・防災対策費などでの購入を見込んでいる。「Guardian72」の取り組みは公共性の高いプロジェクトとして、日本政策投資銀行(DBJ)のBCM格付融資の対象としても認められる。
自治体向けにはふるさと納税での購入を提案。ふるさと納税で得た収入でボックスを購入し、運営側の備蓄倉庫に保管。災害があった際は避難所に送り届けられる。購入した自治体から近い倉庫に保管される方針だが、購入自治体以外での発災時には運営側の判断で購入自治体以外の被災地の避難所に送られることもある。
プロジェクトにはふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を企画・運営するトラストバンクが協力。ふるさと納税は使い道を納税者が指定できるよう、自治体で決めることができる。トラストバンクでは使い道指定に「Guardian72」のボックス購入を設定した自治体のための専用ページを、ふるさとチョイスに設置。設定した自治体名一覧を掲載する。「Guardian72」のサイトから同サイトへのリンクも設定する。2018年1月にも開始する予定。トラストバンクではふるさとチョイスに以前から被災自治体への寄付機能を設けている。
購入しても自分たちの避難所に届かない可能性があることから、出席した自治体職員からは「寄付先で役立ててほしいというふるさと納税の趣旨に合わないのではないか」という質問が相次いだ。ミューチュアル社の有馬朱美社長は、「共助の仕組みであることを自治体や納税者に理解いただきたい」と説明。購入した自治体がほかの自治体を助けることもあれば、被災時に別の自治体からボックスが届けられることがあること、直接避難所に必要な箱詰めがなされた状態で届けられることから、仕分け作業が必要なく、被災自治体の作業を大幅に軽減できる意義などを述べた。
ふるさと納税で自治体が購入し運営側で保管する場合、シリアル番号を自治体と納税者に通知。ボックスがどこに保管され、発災時にどう使われたかがわかるようにする。また、ミューチュアル社は東京23区の企業向けに販売する被災者支援目的とは別の自社用備蓄品を、全国の自治体向けにも販売する方針を決めた。備蓄費用・送料が不要となることから価格は1万8000円とする。これについては保管を購入企業や自治体自身が行い、発災時は自分たちや当該自治体の被災者などが利用する。
■関連記事「2020年に人口10%分支援物資配送体制」
http://www.risktaisaku.com/articles/-/3641
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
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