政府の緊急事態宣言によって経済社会のダメージが一層深刻化。先行きが見通せない状況が続くなか、飲食大手では「このままでは雇用を守れない」として営業時間短縮要請に応じない動きが広まっている。企業の危機管理担当者がいま持つべき視点と取り組むべき対策を聞くリレーインタビュー第3弾は、危機管理広報の観点からの意見を紹介。

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企業はいま何をすべきか
日本リスクマネジャ-&コンサルタント協会副理事長/広報コンサルタント
石川慶子氏

Q.2度目の緊急事態宣言が発出された。企業の危機管理広報の観点から、現在の状況をどう見るか?

マスメディアの報道が極めて偏っていると感じる。苦境に立たされているのは医療現場だけではなく、守るべきは高齢者だけではない。にもかかわらず、それ以外の弱い立場の人たちがほとんど置き去りにされている。

経済社会に甚大な影響(写真:写真AC)

昨年4月のときはまだ新型コロナについて分からないことが多かったが、いまはいろいろな知見が蓄積されている。一方で経済が相当痛めつけられ、倒産や廃業、失業、自殺者が増えている。大学生は依然として学校に行けず、就職もできない。それなのに、マスメディアは4月と変わらず「医療を守ろう」「命を救おう」と、この期に及んでみなが同じ方向を向いて同じ報道を繰り返している。とても危険だ。

Q.飲食業から(会社を守るためには)「時短要請には従えない」という声が発信され始めた。これをどう考えるか?

危機管理広報は、基本的には自社が原因の事故や不祥事、あるいは不可抗力の災害によってステークホルダーに損害を与えてしまうおそれがあるとき、しっかりと謝罪や説明をすることで組織を守るものだ。しかしそれ以外でも、事業の存続が脅かされる事態になれば、当然、メッセージを発信していい。

影響が大きい飲食業界(写真:写真AC)

飲食店が声をあげるのは、困っているからだ。政府・自治体の要請に反しているとしても、困っていることを「困っている」といって何も問題ない。むしろ「叩かれるからいえない」「批判されるからいえない」ということこそ問題で、それでは本当に正しい判断などできない。

困っている企業は自社の意見や考えを理由も含めて発信し、反論がある人はもちろん反論すればいい。そうした議論が、特に経済界からもっと出るべきだ。黙っていれば何も起きない。自社の考えをていねいに説明し、もし間違ってしまったときであれ、批判が来たら堂々と受ければいい。