2021/02/22
【オピニオン】緊急事態宣言再発出と延長
資金繰り支援頼みでギリギリ経営を維持
新型コロナ関連の経営破たん(倒産、弁護士一任や準備中を含む)件数は、昨年9月以降1カ月90~100件超の高い水準で推移。2月に入っては15日時点で78件と、これまでで最多の発生ペースとなっている。倒産集計の対象外となる負債1000万円未満も含め、関連破たんは昨年2月の初確認から約1年で累計1000件を突破した。緊急事態宣言解除が見送られ、外出自粛や時短要請が引き続き売上を圧迫。年度末を控え、息切れ企業の増加で倒産はさらにピッチを上げる可能性が高い。リレーインタビュー第4弾は中小企業の経営環境について。
緊急事態宣言延長の影響
東京商工リサーチ情報本部情報部部長
松永伸也氏
Q.企業倒産の状況をどうみるか?
新型コロナの流行がなければ、2020年の倒産は極めて多くなると予想していた。その比較でいえば、倒産件数は低く抑えられている。しかしこれは、持続化給付金やいわゆるゼロゼロ融資(民間金融機関による実質無利子・無担保融資)といった金融支援策の効果。実態経済を反映したものではない。むしろ、倒産が「先送り」された可能性もある。
資金繰りは確かに楽になっている。だがそれは、当座をしのいでいるだけ。通常の不況ならばそれでもいくらかは売上が入るが、今回は移動制限や時短要請によって売上がほとんど期待できない。飲食店などはまさに干上がっている状態。近いうちに必ず限界が来る。
なぜなら、いくら原材料費などの変動費を抑えても人件費や店舗の賃借料などの固定費は出ていく。またゼロゼロ融資などは最大5年間まで元本を据え置くことが認めてられているが、コロナ収束を見込んで据置期間を半年から1年以内に設定している企業が実は多い。その返済期限が5月・6月には確実にやって来る。大方の金融機関は返済条件の変更要請に基本的には応じてくれるだろうが、返せる見込みのあることが前提になる。
Q.コロナがなければ2020年の倒産はもっと多かった、と。それはなぜか?
2008年のリーマン・ショック後、世界的金融危機が中小企業に影響を及ぼすのを防ごうと、日本政府は「中小企業金融円滑化法」を施行。金融機関は借り手から返済猶予などの相談を受けた場合、返済期間の延長や金利の減額などの条件見直しに応じる努力義務を課せられた。この効果で、倒産が激減した。
円滑化法は時限立法なので2013年3月に終了したが、金融機関はその後も中小企業の円滑な資金調達を支援するスタンスを維持。つまりリーマン・ショック以降、中小企業の資金繰りは表面的には大幅に改善された。しかし、それが剥落し、実態を映し出しているのが最近の状況だ。
2019年は、経済がだいぶ傷んでいたところに米中貿易摩擦、台風・豪雨災害の多発、さらに消費税引き上げといった要因が重なり、後半から倒産が増加。2020年に入っても暖冬の影響でアパレル関係の不振が続き、倒産は右肩上がりで推移すると予測していた。
Q.皮肉にもコロナ(による資金繰り支援策)によって救われたということか?
そのとおりだが、冒頭で指摘したように、それはあくまで見かけ上の倒産が抑えられているに過ぎない。キャッシュアウトをいくら止めても、キャッシュインがない限り、債務だけが膨らんでいく。
債務超過になると財務状況が悪化し、資本が傷む。そうなると、企業は次の借り入れが難しくなる。そのため政府では、疑似資本といわれるが、いままでの借入金を資本とみなし、そこでまた新たな借り入れを可能とする措置を講じている。まさに至れり尽くせりだ。しかし、それも金融機関とのやり取りの上での話。借入金である点は変わらない。
【オピニオン】緊急事態宣言再発出と延長の他の記事
- 政府・自治体はリスクマネジメントに失敗したブレる「リスク許容度」 簡単に変わるゴール
- 緊急事態宣言下の社会江戸庶民の危機対応に学ぶ
- 資金繰り支援頼みでギリギリ経営を維持負債増えるも売上なし 春先の息切れ懸念
- 感染症法上の扱い柔軟に 年齢層による使い分けも
- 苦境に立っている企業は声をあげるべき一方向のメッセージだけ優先するのは危険
おすすめ記事
-
ドンロー主義の顕在化に揺れる世界
アメリカとイスラエルが2月28日、イランへ大規模な軍事作戦を開始。イランは徹底抗戦する構えで、中東全体を巻き込む紛争に発展しました。早期停戦が待たれるも、長期化の可能性も依然濃厚。アメリカ政治に詳しい上智大学教授の前嶋和弘氏に、トランプ政権の思惑と今後の軍事行動に影響を与える要因を聞きました。(インタビューは3月16日)
2026/03/30
-
引き合い急増する「セキュリティソムリエ」
ソフトバンクのグループ企業でIT商社のSB C&Sは2021年から、サイバーセキュリティ市場の多様化に対応するため販売パートナーへの支援活動を展開。商社の情報力・目利き力を生かしてSIerやベンダーの提案力を補強し、その先のユーザー企業へ最適なソリューションを届けています。「セキュリティソムリエ」と銘打った活動のねらいを聞きました。
2026/03/30
-
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2026/03/24
-
-
-
-
-
火事・水害の被災設備に復旧という選択肢
災害復旧専門サービスのベルフォアジャパンは昨年、独自営業による顧客開拓に乗り出しました。これまでは共同出資者の東京海上日動火災保険を窓口としてきましたが、体制変更を機に直接の市場アプローチを開始。BCPの実効性を確保する手段として自社のサービスを訴求する考えです。代表取締役社長の加藤道久氏に今後の市場戦略を聞きました。
2026/03/18







※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方