第133回:地球規模の気候変動を踏まえつつ自然災害を総括した報告書
Aon / Weather, Climate & Catastrophe Insight 2020 Annual Report
合同会社 Office SRC/
代表
田代 邦幸
田代 邦幸
自動車メーカー、半導体製造装置メーカー勤務を経て、2005年より(株)インターリスク総研、(株)サイエンスクラフト、ミネルヴァベリタス(株)にて事業継続マネジメント(BCM)や災害対策などに関するコンサルティングに従事した後、独立して2020年に合同会社Office SRCを設立。引き続き同分野のコンサルティングに従事する傍ら、The Business Continuity Institute(BCI)日本支部事務局としての活動などを通して、BCMの普及啓発にも積極的に取り組んでいる。国際危機管理学会(TIEMS)日本支部理事。一般社団法人レジリエンス協会幹事(組織レジリエンス研究会座長)。環境経営学会幹事(企業の気候変動に対する「適応」研究委員会メンバー)。政府会計学会会員(社会リスク研究部会メンバー)。
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かつて紙媒体の『リスク対策.com』での連載記事で、再保険ブローカーのAon Benfieldが発表した報告書『2015 Annual Global Climate and Catastrophe Report』を紹介させていただいた(注1)。これは1年間に発生した自然災害の被害規模や発生状況のトレンドなどをまとめたもので、特に経済的損失に関するデータが豊富に掲載されている。
会社の組織改編に伴って、現在はこの報告書は世界最大級の保険・再保険ブローカーであるAonから発表されている(注2)。今回はこの報告書の2020年版を紹介させていただきたいと思う。
まず本報告書では、少なくとも次のいずれかに該当するものが「自然災害(natural disaster)」と定義されている。
・経済被害が5,000万米ドル以上
・保険金支払額が2,500万米ドル以上
・死者が10人以上
・負傷者が50人以上
・住宅や建造物の被害が2,000件以上
2020年にはこの定義に該当する自然災害が少なくとも416件あり、そのうち130件がアジア太平洋地域で発生しているとのことである。