気候変動BCPが地震対応BCPと違う理由とは(写真:写真AC)

■BCPの方針や目的は"固定的"ではない

BCP文書では、最初に「災害が起こったとき何を守り、何を維持するのか」、いわばBCPの「方針」や「目的」を明確にしなくてはなりません。一般にこうした方針や目的というのは、一度決定したらむやみに変更しないことが暗黙の了解となっていますが、気候変動を対象とする場合は、方針や目的の見直しを比較的短いスパンで行わなくてはならないかもしれません。次のような変化のトリガーが存在するからです。

(1)気候関連の法令や条例の発布

さまざまな規制が(写真:写真AC)

気候変動に対処するためには、理想や努力目標だけを掲げても無意味です。社会や経済に実効性ある変革を促す上で、法令や条例の施行は避けては通れません。とくにCO2排出抑制に関わる法令や条例は、企業が提供する製品やサービスに影響を与えることが明白です。

(2)国内の大企業や海外の取引先からの要請やニーズの変化

製品に対するニーズ変化(写真:写真AC)

法令や条例を通じての要請とは別に、大企業が次々と脱炭素型のテクノロジーや製品を市場投入する過程で、大企業の傘下にある中小企業はその実現のためにさまざまなニーズに応えることが求められます。同じことは、海外の取引先からの新たな要請やニーズの変化という形でも見られるでしょう。

(3)気象災害はより激しく変化する

強度を増す脅威(写真:写真AC)

気候変動の脅威の特徴は、次第にその強度を増すことです。物理的リスクとして台風・豪雨、そして中長期的には熱波や海面上昇の影響などをBCPに盛り込むとしても、その強度(風力や降水量、浸水・冠水量、最高気温など)はさらに激しく、広域的に被害をもたらす可能性があります。