■パンデミックの教訓
これまでさまざまな気候リスクとその対策について述べてきましたが、単にBCPの見直しを前提に足し算的にリスクを並べただけでは次の一歩につながらないことも事実です。というのは、「気候リスクにはAやBやCがあり、さらに将来はリスクDも生じる可能性がある」と理解しても、それらを積極的に社内の危機管理の風土に組み込んでいくだけの下地が企業側にできていなければ、文字通り絵に描いた餅で終わってしまうからです。
NTTコムリサーチとNTTデータ経営研究所による共同企画調査(「企業の事業継続に係る意識調査[第6 回]」)には、次のような注目すべき結果が出ています。
BCPでパンデミックを想定していなかった理由について、5割の企業が「BCP を『地震や自然災害時の対応』 と認識していたため、 BCP の検討対象にはパンデミックは含まれないと思っていた」と回答。さらに「BCPで地震や自然災害を想定していれば、他のさまざまなリスクにも幅広く対応できると考え、パンデミックにフォーカスし想定する必要性を感じていなかった」と回答した企業も2割あるといいます。
本来BCPは「事業を脅かすあらゆるリスクに対処するための計画」です。それが一部のリスク対応だけで終わっているということは、BCMが回っていない(リスクの見直しや追加が行われていない)ことの証左でしょう。
最終回となる今回は、気候変動に対処するにはBCP文書だけでなくBCMとしての見直しも同様に重要であることを述べ、どのような側面にフォーカスすれば気候変動に適応可能なBCMになるのかを提示します。
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