2021/03/05
防災・危機管理ニュース
日本経済団体連合会(経団連)はこのほど、「非常事態に対してレジリエントな経済社会の構築に向けて」と題する提言をまとめた。新型コロナウイルスが社会の脆弱さを浮き彫りにした現状を踏まえて、非常事態に強く、早期の事態収束・復旧を可能とする「レジリエントな経済社会」の構築が求められていると指摘。あらゆる非常事態に対応するための方策として、企業に対しては、「オールハザード型BCP」への転換や、サプライチェーンの強靭化を求めたほか、政府に対しては、非常事態に省庁横断・産官学を挙げた対応が可能な「バーチャルな非常事態対応組織」の創設を提案した。
提言は、コロナ禍によって、▽既存のBCPの想定を超えたため(パンデミックを想定できず)事業継続が困難、▽世界規模でもたらされたサプライチェーンの分断(様々な物資・製品の供給が停滞)――という課題を浮き彫りにしたと指摘。
その対応策として提起した「オールハザード型BCP」は、地震や台風といった個別事象毎にBCPを整理するのではなく、非常事態の発生によって〝結果として生じる事象〟に着目して事業継続の方策を整理。非常事態時に優先すべき業務を明確にし、事業継続の備え(設備投資・備蓄等)を万全にするとしている。
さらに、企業に対して、サプライチェーン全体の強靭化に向けた取り組みを加速することを求めた。具体的には、①多元化(あるサプライチェーンが機能不全になっても事業継続が可能に)、②可視化(何をどこに供給し、在庫をいかに確保するか迅速に判断が可能に)、③一体化(サプライチェーン全体を貫くBCPの策定等)――の3つの取り組みによってサプライチェーンの強靭化を推進するとした。
- keyword
- オールハザードBCP
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
「自分の安全は自分で」企業に寄り添いサポート
海外赴任者・出張者のインシデントに一企業が単独で対応するのは簡単ではありません。昨今、世界中のネットワークを使って一連の対応を援助するアシスタンスサービスのニーズが急上昇しています。ヨーロッパ・アシスタンス・ジャパンの森紀俊社長に、最近のニーズ変化と今後の展開を聞きました。
2025/08/16
-
白山のBCPが企業成長を導く
2024年1月1日に発生した能登半島地震で震度7を観測した石川県志賀町にある株式会社白山の石川工場は、深刻な被害を受けながらも、3カ月で完全復旧を実現した。迅速な対応を支えたのは、人を中心に据える「ヒト・セントリック経営」と、現場に委ねられた判断力、そして、地元建設会社との信頼関係の積み重ねだった。同社は現在、埼玉に新たな工場を建設するなどBCPと経営効率化のさらなる一体化に取り組みはじめている。
2025/08/11
-
三協立山が挑む 競争力を固守するためのBCP
2024年元日に発生した能登半島地震で被災した三協立山株式会社。同社は富山県内に多数の生産拠点を集中させる一方、販売網は全国に広がっており、製品の供給遅れは取引先との信頼関係に影響しかねない構造にあった。震災の経験を通じて、同社では、復旧のスピードと、技術者の必要性を認識。現在、被災時の目標復旧時間の目安を1カ月と設定するとともに、取引先が被災しても、即座に必要な技術者を派遣できる体制づくりを進めている。
2025/08/11
-
アイシン軽金属が能登半島地震で得た教訓と、グループ全体への実装プロセス
2024年1月1日に発生した能登半島地震で、震度5強の揺れに見舞われた自動車用アルミ部品メーカー・アイシン軽金属(富山県射水市)。同社は、大手自動車部品メーカーである「アイシングループ」の一員として、これまでグループ全体で培ってきた震災経験と教訓を災害対策に生かし、防災・事業継続の両面で体制強化を進めてきた。能登半島地震の被災を経て、現在、同社はどのような新たな取り組みを展開しているのか――。
2025/08/11
-
-
-
中澤・木村が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/08/05
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/08/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方